logo


asicro column

更新日:2005.3.6

アジア接近遭遇の旅

mask
済州島のシネマ・ミュージアム

 パスポートをふとめくると、この4年の間「成田」「インチョン」以外のスタンプが無いことに気づいた。もう韓国専用パスポートと化しています(笑)。なのに…ソウル以外は訪れたことがない。そんな私が、ようやく済州島(チェジュド)に降り立つことが出来ましたので、今回はドラマや映画のロケ地として、はたまた国際会議の会場やサッカー大会の開催地として、訪れる人が倍増中の済州島(チェジュド)にある、SHINYOUNG CINEMA MUSEUM(シンヤン・シネマ・ミュージアム)をご紹介します。

 入場料2000ウォン(大人)を払って館内に入ると、最初の部屋には『カル』や『シュリ』など、懐かしいポスターの数々が展示されています。韓国映画界の歴史、各賞の歴代の受賞者の写真(青鐘賞とか)、ヒット作のポスターやシナリオが展示されているエリアでは、自分の好きな俳優さんを発見して少々テンションがあがります。

 韓国映画だけでなく、映画の歴史が年代を追ってわかるようになっており、韓国映画に興味がなくても、映画好きには楽しめる部分も。『エイリアン』や『ロボコップ』が並ぶ場所に『殺人の追憶』のポスターがあり、まさに「なんでもあり」状態(笑)。

 特殊メイクの道具や、『JSA』等で使用されたとおぼしき衣装がある一方、韓国歴史ドラマに登場する王様やお姫様が着用する、かつての豪華な韓服やその時代の箪笥や籠も並び、その王様やお姫様用の韓服を着て写真を撮ってくれる有料サービスもあります。はたまた、チェジュ放送局のニュース・デスクが再現されており、誰でも「ニュース・キャスター」席に座ることができ、その様子がTVにどのように写るのかが試せます。

 また、合成写真の有料サービスもあり、青い壁のステップに手や足をのせておくと、PCで「断崖絶壁を登る」(落ちそうな?)写真に仕上げてくれます。カップル向けに他のバージョンもあり、この撮影には2000ウォンほど。

p1 シネマ・ミュージアムの前にあるチェジュ名物トルハルバン(石像)に降りつもった雪。晴天なのに雪という不思議なパターンはチェジュ滞在数日のうち何度かありました。

 3階には円形シアターがあり、中は真っ暗でスクリーンがあるのみ。一体何が見られるのだろう?と、そのあたりをウロウロしていると「なんとかかんとかシュリ!」「え? シュリ?」「シュリ! シュリ!」

 「シュリ」しか聞き取れなかったわけで(苦笑)、他にお客もおらず、たったひとりでその円形シアターにたたずむことに。中には座席もなく、即座に照明を消され真っ暗状態。人がいる場合は立見なんだろうけど、誰もいないのをいいことに床に座ると、前方のスクリーンからは懐かしき『シュリ』が始まりました。といっても、ダイジェスト中のダイジェストで、誰の記憶にも残っている名場面がつながれ、2分強で終了。でも、何かが違うのです。なんだろう?

 すると再び、『シュリ』のダイジェストが始まりました。全く同じ映像。あれ、今度は、台詞の音声がない! 聞こえるのは、雨の音や、水槽の音、弾丸の音、ガラスの割れる音。そう、効果音と映像だけ。最初のダイジェストは…そうか! この効果音がなくて、台詞だけだったから、不思議な感じがしたのでした。

 そして3度目のダイジェスト開始。台詞と効果音と音楽と、全て揃っている。こんなにも映像が違ってみえるとは! 場面ごとの迫力や、リアル感がこれほど違うとは! 3バージョンのダイジェストを見て10分弱のこのアトラクションが、このシネマ・ミュージアムの最大の目玉でしょう。

 さて、展示品の中で、どのハリウッド映画で使用したのか私には不明のバイクの背後に「これはっ!」と目を奪われたのが、真っ黒な木製のベッド。本当に映画の撮影に使われたモノなのか、それを再現したモノなのかわかりませんが、このベッドは『銀杏の木の寝台』(邦題は『銀杏の木のベッド』)の寝台ではありませんかっ! 『銀杏の木の寝台』は、ハン・ソッキュやシン・ヒョンジュン出演の悲しい恋物語で、とても好きな作品なので、この寝台との遭遇が個人的には一番嬉しかったミュージアム訪問でした。

 他にもこじんまりと、ミュージアムのオリジナル・グッズのお店やアクセサリー関連のお土産物店、カフェ・テリアもあり、3D映画のミニ・シアターもありました。庭に出ると、そこにも映画関連モノが設置されておりました。サクサク順路を進めば30分ほどで見終わってしまう規模ながら、好きなポスターや好きな俳優さん関連のエリアをじっくり鑑賞していると、軽く2時間は過ぎてしまうのではないでしょうか。

 今回は日程の都合で、駆け足でこのミュージアムを通りすぎた私でしたが、再度、チェジュドを訪問する際には、ぜひもう一度ゆっくり観てみたいと思いました。

●SHINYOUNG CINEMA MUSEUM(シンヤン・シネマ・ミュージアム)
*交通アクセス
タクシー:済州エリアから1時間〜1時間30分/中文エリアから30分〜40分/西帰浦エリアから20分〜30分
一般バス:タクシーでかかる時間+30分以上。(直行便はなく一般バスなので、停留所が多いため)
*いずれの場合も、宿泊ホテルのフロントまたは観光案内所でアクセス方法(バス下車停留所等)を確認して下さい。
*済州島ガイドサイト:http://www.jejuscm.co.kr

●以下は、その他の注意事項です。

チェジュドでの交通は、バスとタクシーのみ。また、バスやタクシーの運転手は基本的にハングル語オンリーです。英語も日本語も通じません。またミュージアムのある場所は大通りに面しておらず、近くの通りの交通量も多くないので、タクシーで行かれた場合は帰りのことを考慮して、以下のことをお薦めします。
・戻ってくるまで、タクシーに待っていてもらう。
・時間を指定して、タクシーに来てもらう。
・タクシーの電話番号を聴いておき、必要な時間に電話して呼ぶ。(もちろんハングル語で)

タクシーに待っていてもらう場合、私が乗ったタクシーは完全にメータを止めて待っていてくれましたが、待ち時間にメータをまわしている運転手もいます。またタクシーを呼び出すと、その分料金を加算される場合もあります。タクシー料金は運転手によりけり、と覚えておきましょう。

(2005年3月2日/photo by 龍玲花)

text by 龍玲花●プロフィール
東京都、荻窪生れ。韓国との第1種接近遭遇は、1997年サッカー韓国代表。以後、2000年から韓国映画が加わり現在は韓国映画とサッカー韓国代表との間をハートが往復する日々。「言葉は耳から覚える!」がモットーで、未だ読めるハングルは、選手名、チーム名、俳優名、映画のタイトルに食べ物…と偏りっぱなし。ミーハー体質のまま未来永劫突き進む所存也。

●back numbers
2006年12月18日
6年目の再会
2006年9月30日
ジャッキー・チョンの歌をスクリーンで!
2006年8月30日
そしてアジョッシは「イチ、ニー、サン…」と数えた
2006年7月28日
「Setstock’06」でアジア屋台三昧
2006年6月22日
韓国伝統茶と鹿の角
2006年5月16日
熱い血潮の韓国サッカー
2006年4月29日
70男の韓国プチ留学
2006年3月21日
かもめ食堂とベトナムコーヒー
2005年12月23日
『悲情城市』の街・九[イ分]
2005年11月7日
仏様も寝転ぶタイの街で
2005年8月16日
韓国で四象体質検査を体験
2005年6月24日
ガラスの向こうの中国
2005年5月21日
すっかり変貌した香港の街
2005年4月27日
今度は、ソギポの映画館で
2005年4月3日
バイオリンの思い出
2005年3月2日
済州島のシネマ・ミュージアム
2005年1月31日
韓流2大コンサートを体験
2004年11月24日
みちのく国際ミステリー映画祭
2004年10月26日
今は昔の「映画祭突撃行動」体験談
2004年9月16日
カルチャーショック体験日本版
2004年8月3日
百万ドルの夜景の下で…叫ぶ!
2004年7月15日
旅先マジック アオザイの誘惑
2004年6月11日
ビバ!マレーシア!!
2004年5月1日
ある日、ソウルの郊外で
2004年4月18日
旅の極意は「食べる」こと
2004年2月20日
ある夜、ソウルの映画館で