2007.7.18
日比谷みゆき座にて
撮影の事情でジャパンプレミアに参加できなかったトニー・レオンが、日本のファンとの約束を果たすため、急遽、舞台挨拶で来日してくれました。突然の日程にも関わらず、舞台挨拶が行われた横浜と日比谷の劇場は、たくさんのファンで埋め尽くされました。
取材できたのは、日比谷みゆき座での15:55分の回終了後の舞台挨拶。映画をご覧になった観客の皆さんが、ドキドキと期待しながら待つ中を、脇のドアからトニーが登場します。拍手と大声援の中をステージにあがり、「まずは一言」と促され、ご挨拶。今日は広東語です。
舞台挨拶をするトニー
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トニー「日本の皆さん、こんばんは。お会いできて、ほんとうにうれしいです」
「一言だけですか？」と司会者から突っ込まれ
トニー「これからもこういう機会があればと思います。皆さんの顔を見ながらコミュニケーションが取れますので」（場内拍手）
司会「さて、初めての悪役ですが、演じてみていかがでしたか？」
トニー「このような役はやったことがありませんでしたし、ずっと前から新しい役柄に挑戦したいといつも思っていました。実際にやってみたら、とても新鮮な感じがしました。皆さんも、そう思われたのではないでしょうか」
司会「役作りで苦労されたことはありますか？」
トニー「僕自身は暴力的な男ではないので、人を殴ったり殺したりするシーンはちょっと辛かったんです。相手を傷つけてしまったらと、不安でした。仏像の頭を持って人を殴り殺すシーンがありますが、実は撮影現場では、僕はやらないで、監督に助けを求めました。監督の手で撮影したんです。（会場笑）ここでバラしますが、映画の中で最も暴力的な殺人シーンの手は、僕の手ではなくて、アンドリュー・ラウ監督の手です（笑）」（場内爆笑＆拍手）
司会「皆さん、違いがわかりましたか？ ぜひ、またご覧になってチェックしてください。この映画のテーマは主人公の男たちの心の傷ですが、トニーさんご自身には心の傷がありますか？」
トニー「誰にでも悲しい思い出や傷つけられた経験があると思いますし、僕も例外ではありません。でも、ヘイのように復讐することはできません。僕は人を許す方です。いつも思うんですが、人を許すことができれば、結局は自分も許すことができます。そうすれば、人生により大きな安らぎを得ることができるでしょう。ここが、まさにこの映画のテーマ。人を許すことが学べるんです」
司会「映画では、2003年の香港が描かれていますが、トニーさんにとって、香港はどんな街ですか？」
トニー「（大きなため息をついて）それを聞かれると、ちょっと悲しくなります。僕にとっての心の中の香港は、今はもうないんです。記憶に残っている香港は、97年の返還前の香港でした。僕は香港で生まれ育ったので、小さい時のたくさんの思い出がいまだに鮮明に残っています。以前の、植民地時代の香港のことを思い出して話をすると、古い友人の話をしているような気がします。スターフェリー（乗場）や昔のカオルーン駅、いろいろな公園や郊外のレストランなど、たくさんの建造物がもうありません。壊されてしまったんです。だから、昔の香港は、永遠に心の中にしかないんです」
心の中のホームタウンということで、先日の大地震で被災して苦境に立たされている新潟の人々へ、メッセージをくれました。
トニー「今は科学技術が発達していますが、天災が起きると人間はときどき無力さを感じます。被災された皆さんには、1日も早く落ち着いた暮らしが取り戻せるよう頑張って、前向きに生きていっていただきたいと思います。また、皆さんがこの嫌な出来事を早く忘れて、幸せな日々を迎えられるよう願っています」
司会「最後に、ファンの皆さんにメッセージをお願いします」
トニー「今日は来ていただいて、皆さんほんとうにありがとうございます。今回の役は、俳優として長い間試してみたかったし、新鮮な役柄でした。気に入っていただけるといいのですが。これからも、皆さんに違うタイプの作品やいろいろな役柄をお見せできればと思います。多分、近い将来、また日本で皆さんとお会いできるでしょう」
司会「お待ちしております」
この後、フォトセッションが行われ、再び大声援の中、あのシャイで人なつっこい笑顔をふりまきながら退場していきました。この後の回の上映前に、最後の舞台挨拶をこなし、いくつかの取材を受けた後、翌日にはもう北京のロケ地へと帰って行ったトニー。おつかれさまでした。近い内にまた来日するかも、と最後にうれしい言葉が聞けましたが、この後もアン・リー監督の『色、戒』、ジョン・ウー監督の『レッド・クリフ』と、話題の作品が続いています。今から楽しみですね。
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更新日：2007.7.24
●back numbers
舞台挨拶の表記
司会者
トニー（トニー・レオン）
プロフィール
1962年6月27日、香港生まれ。81年にTVBの俳優養成所に入り、82年に正式契約。TVBの若手スター五虎将に数えられ、TVドラマで活躍する。85年に『花心紅杏』で映画デビュー。89年の『悲情城市』で国際的評価を得、俳優として独立。以後、演技派として、ウォン・カーウァイをはじめ、数々の名監督による様々な作品に出演。2000年に『花樣年華』でカンヌ国際映画祭の主演男優賞を受賞している。
＊トニーレオン公式サイト
filmography
・花心紅杏(85)
・青春差館(85)
・癲[ｲ老]正傳(85)
・地下情/
追いつめられた殺意(85)
・幸福を求めて(85)
・野獣たちの掟(85)
・ロボフォース 鉄甲無敵マリア
(85)
・風にバラは散った(85)
・忠義群英(85)
・悲情城市(85)
・ワイルド・ブリット(90)
・欲望の翼(90)
・沙灘仔與周師[女乃](91)
・インファナル・デイズ
/逆転人生(91)
・魔畫情(91)
・千王1991(91)
・蒼き獣たち(91)
・チャイニーズ・ゴースト・
ストーリー3(91)
・豪門夜宴(91)
・ハードボイルド
/新・男たちの挽歌(92)
・[足易]到寶(92)
・亞飛與亞基(92)
・新流星蝴蝶剣
/秘術VS妖術(93)
・大英雄(93)
・風塵三侠(93)
・反斗馬[馬留](93)
・哥哥的情人(93)
・正牌韋小寶之奉旨溝女(93)
・マジック・クレーン(93)
・エンド・オブ・ザ・ロード
(93)
・情人知己(93)
・月夜の願い(93)
・キング・オブ・ギャンブラー
(94)
・恋する惑星(94)
・等着[ｲ尓]回來(94)
・楽園の瑕(94)
・裏街の聖者(95)
・シクロ(95)
・欲望の街・外伝
/ロンリーウルフ(96)
・偸偸愛[ｲ尓](96)
・ブエノスアイレス(97)
・最佳拍档之醉街拍档(97)
・ミッドナイト・エクスプレス
(97)
・ロンゲストナイト(98)
・超時空要愛(98)
・フラワーズ・オブ・シャンハイ
(98)
・君を見つけた25時(98)
・ゴージャス(99)
・東京攻略(2000)
・侠骨仁心(2000)
・花様年華(2000)
・ファイティング・ラブ(01)
・ラブ・イズ・マネー(01)
・天下無雙(02)
・HERO(02)
・インファナル・アフェア(02)
・行運超人(03)
・インファナル・アフェアIII
/終極無間(03)
・サウンド・オブ・カラー
/地下鉄の恋(03)
・1:99 電影行動(03)
・2046(04)
・ソウル攻略(05)
・傷だらけの男たち(06)
・ラスト、コーション(07)
・レッド・クリフ(07)
・一代宗師（09）＊準備中
discography
・梁朝偉(86)
・誰願(88)
・一天一點愛戀(93)
・難以忘記的[ｲ尓](93)
・一生一心(94)
・爲情所困(94)
・日＆夜(94)
・従前…以後(95)
・錯在多情(95)
・難以忘記 情歌精選(96)
・梁朝偉精選集(2000)
・花樣年華(2000)
・風沙(02)
・無間道OST(03)
・地下鉄OST(04)
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