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ASICRO FOCUS file no.20

タイのちびっこスターと6人の監督たちー『フェーンチャン/ぼくの恋人』記者会見

p4 左からエス監督、ディアオ監督、ヨン監督、チャーリー、フォーカス、チャルームポン、トン監督、ビン監督、ボール監督

(*各監督の名前が長いので、略称を使用しています。)

●昔の遊びをやってみてどうでしたか? 今はどんなことをして遊んでいますか?

 チャルームポン「輪ゴム吹きは以前にちょっとありましたし、サッカーは今でも好きな遊びです。サッカー以外ではコンピュータ・ゲームで遊ぶのが好きです。」

 フォーカス「映画の中の遊びは今ほとんどしなくて、もうちょっとハイテクなお人形とか他のもので遊んでいます。」

 チャーリー「輪ゴム吹きは今はほとんどやりません。サッカーは今でもよくやります。今好きなゲームは、コンピュータ・ゲームとラジコン飛行機です。」

●80年代がタイの皆さんにとって懐かしいというのはなぜでしょう?

 ヨン「80年代のタイは、現在のように競走社会ではありませんでした。当時のタイ人は、幸せであればほどほどの暮しでいいという考え方でした。ところが現在では、例えば、子どもの受験戦争や就職活動で競走が激しくなります。ですから、80年代にタイ人が心を惹かれるのは、ほどほどの生活をしてのびやかな生活を送っていた時代の雰囲気が、懐かしいからだと思います。」

●皆さんは今、のびやかな生活をしていらっしゃいますか?

 ヨン「そうですね。今のところのびやかで満足した生活を送っていると思います。中には、家が欲しいとか車が欲しいとか、物欲のある人も多少はいるかもしれませんが、今は国内外の好きな場所で好きな脚本を書ける、そういった生活を送っています。」

●この映画を撮影した後、6人の関係や監督として変ったことはありますか?

 エス「僕たちは同じ大学で勉強してきた同級生で、知り合ってもう11年になります。この映画の為に寝食を共にし、いろんな場所に行って映画について議論を交わしてきました。結局、映画も一緒に撮った訳ですけれども、結果的にはこの映画は成功しました。だからといって、僕たちの関係が特に変ったということはありません。最初から最後まで親友のままです。

 今は別々に映画のプロジェクトがあって、それはそれでうれしいのですが、やっぱり何か困った時には友だちに相談するようにしています。この映画を撮った時に、僕たちは『365フィルム』というグループ名を使いましたが、その名前は今後もずっと変ることはありません。」

 ディアオ「映画を撮って人生が変ったかというと、まあ、多少人生がよくなってちょっと食べていけるようになったかなあと…。でも、今後もひたすら頑張って働いていきます。」

 ヨン「僕たちの友情について少しご説明しますと、大学4年間は一緒にいて、それぞれバラバラになったのですが、この映画のためにまた再結集し、大体1年間くらい、一緒に地方に行ったり寝食を共にしたりして過ごしました。プロデューサーから『6人で監督してみてはどうか?』と言われた時に、ここまで親しい6人じゃなければ、きっと映画なんて一緒に監督できないだろうと思いました。

 映画が成功して変ったことはいうと、顔が知られるようになったので、あまりみっともないことはできなくなりました。例えば以前は、朝起きたら顔も洗わないで短パンのまま、その辺にラーメンを買いに行けばよかったのですが、今はちょっと恥ずかしいです。」(場内笑)

 トン「この映画の成功は、自分たちが大好きな次の映画を撮るための道を開く、大きな一歩になったと思います。」

 ビン「一番の変化は、撮影中に太ったことです。それから前はフリーランスで細かい仕事を集めていたのですが、今は自分の好きな仕事ができるのが一番うれしいです。」

 ボール「最後っていいですよね。皆と同じ意見です。」(場内笑)

●映画に出演した後で変ったことはありますか? フォーカスさんはお母さんに家を買ってあげたそうですね。

 フォーカス「皆に知られるようになったので、映画館でもデパートでも皆が挨拶してくれて、不思議な感じです。もともと、前からお母さんには家を買ってあげたかったので、それがほんとうになってうれしいです。」

 チャルームポン「一番うれしかったのは、たくさん友だちが増えたことです。特に女の子の視線を感じて、モテモテです。」(場内笑)

 チャーリー「『ジアップ!一緒に写真を撮って』と言われるのがうれしいです。」

p5 仲の良さが伺える個性的な6人の監督たちと子役たち。こどもたちは衣装が重くて、ちょっぴりお疲れモード?

 記者会見の後に、女優の本上まなみさんが登場。皆さんに桃の花を贈呈しました。人数が多いせいもあり、監督6人それぞれのお話があまり聞けなかったのですが、アジクロではこの後、監督たちに単独インタビューを行ないました。その時の愉快な様子も、後日お届けしますのでお楽しみに!


前を読む ▼記者会見1 ▼記者会見2 ▼監督インタビュー
更新日:2005.4.10
●back numbers

記者会見の表記
司会・質問者

チャーリー
(チャーリー・タライラット)
フォーカス
(フォーカス・ジラクン)
チャルームポン
(チャルームポン・ティカマポーンティラウォン)
監督たちのプロフィール
●エス/コムグリット・ドゥリーウィモン

es
1973年1月19日、アユタヤ県生まれ。
大学卒業後に出家。還俗後、『ナンナーク』(99)『怪盗ブラックタイガー』(00)の助監督をつとめる。本作では主に子役の演技指導を担当。現在は連続ドラマを製作中。次回作は『親友』。

●ディアオ/ウィッチャヤー・ゴージウ

diao
1977年3月13日、バンコク生まれ。
大学卒業後に映写技師を経て、ヨン監督とアメリカに留学。帰国後、本作の製作に誘われ主にキャスティングを担当。現在はエディターをやりながら、他の監督たちの作品の編集や予告編作成をサポート。

●ヨン/ソンヨット・スックマークアナン

yon
1973年8月20日、バンコク生まれ。
大学卒業後はTV番組の構成作家として活躍。ディアオ監督とアメリカに留学後、映画製作会社で助監督をつとめ、短編『ぼくの像の絵』(02)で短編&ビデオ映画祭グランプリ「ラット・ペスタジー賞」を受賞。本作では撮影を担当。次回作はチャーリーを主役にした『寄宿生』。

●トン/ニティワット・タラートーン

ton
1974年7月21日生まれ。
大学卒業後、イギリスでファインアートを学ぶ。帰国後は企業のPRビデオや音楽会社のMVを製作。CM製作会社を経て映画製作会社に転職。編集者となる。本作でも編集を担当。次回作は『愛するサーラヤー』。

●ビン/アディソーン・ドゥリーシリカセーム

bin
1975年11月2日、スラーターニー県生まれ。
大学卒業後、家業を手伝った後に出家。還俗後は、企業のPRビデオやMVの製作、映画『オンクリマーン』(03)の製作準備に携わる。本作では主に脚本を担当。次回作はアクション・コメディ『Lucky Losers』。

●ボール/ウィッタヤー・トーンユーヨン

paul
1973年10月22日、サラブリ県生まれ。
本作の原案となった『初めての恋を、君に打ち明けたい』の作者。大学卒業後、アルバイトを経て脚本コーディネーターに。また、企業のPRビデオやTV番組の製作も行なう。短編『Why Comedian?』(01)が短編映画祭で受賞。本作では主に脚本を担当している。次回作は日本との合作映画『卒業旅行』。