story
香港の人気作家ティエンユー(テレンス・ラウ)が久しぶりの新作小説を発表する。だが、盗作疑惑が浮上。世間からバッシングを浴びて傷ついたティエンユーは、7年前に文通していた台湾の少年から教わった鯨が消えた入り江、鯨逝灣(ジンシーワン)を探しに台湾へ旅立つ。そこで出会った鯨に着いて行くと天国へ行けるらしい。入っていた写真の裏には「ここで君を待っている」と書いてあった。
幼い頃、両親と台湾で暮らしたことのあるティエンユー。台湾を訪れるのは久しぶりで、ずいぶんと変わっていた。台北の歓楽街で酔い潰れ、盗難に遭おうとするティエンユーを救ったのは、地元のチンピラ、アシャン(フェンディ・ファン)だった。ティエンユーが目覚めると、下着姿でアシャンの部屋にいた。「安心しろ。自分で脱いだんだ」と同じく下着姿のアシャン。
「俺は台湾の陳浩南だ!」と豪語するアシャンの部屋にはレスリー・チョンの映画のポスターが貼ってあり、香港趣味に溢れていた。不安になるティエンユーだったが、他に頼る者もいない。「鯨逝灣がどこにあるか知ってる?」と尋ねると、アシャンは自信ありげに知っているという。そこで彼を信じ、バイクで連れて行ってもらうことにする。
最初に連れていかれた入り江には小高い岸壁があり、そこは自殺の名所だった。ティエンユーは一人で崖の上に立つ。不安になったアシャンが慌てると、自殺を防ぐ会の人たちがぞろぞろと出てきた。そして、ここは鯨逝灣ではなかった。アシャンは怒るティエンユーを説き伏せ、今度は車を用意して旅を続ける。
車がエンストすると、突然、子犬が現れて小さな滝つぼに連れて行ってくれた。そこで大声で叫んだり。アシャンの家がある墾丁へ寄って、妹分のシアシア(チャン・ズーシュアン)に会い、粽を食べたり、浜辺で遊んだり。そして、夜の花火大会。台湾の大きな自然の中を旅するうちに、ティエンユーは頑なになっていた心がほぐれてくる。だが、アシャンは問題を抱えており、悪い連中につけまわされていた…。
アジコのおすすめポイント:
台湾と香港、海を隔てた2人の若者が文通を通じて知り合い、台湾で初めて出会う物語。ただ、その文通が台湾の古い郵便箱を通じて交わされていたところがミソ。2人の文通は時空を超えており、その秘密のおかげで運命を変えていくマジカルファンタジーになっています。韓国映画の名作『イルマーレ』をも彷彿とさせますが、時空設定はこちらの方が年月も長く、より複雑です。
|