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年少日記

年少日記(年少日記/Time Still Turns The Pages)

製作:デレク・イー
監督:ニック・チェク
脚本:ニック・チェク
撮影:メテオ・チョン
編集:ニック・チェク、チャン・ヒウチュン
美術:アーヴィング・チョン
衣装:ラウ・ウンフォン
音楽:ハンス・アウ、アイリス・リウ、ジョリオン・チョン
主題歌:「年月漫漫」歌・アイリス・リウ、ラウ・ヒョンキン
出演:ロー・ジャンイップ、ロナルド・チェン、ショーン・ウォン、カーティス・ホー、ローサ・マリア・ヴェラスコ、ハンナ・チャン、ルナ・ショウ、ジェシカ・チャン、サブリナ・ンー、ヘニック・チョウ、レイチェル・リョン、ユッキ・タイ、ナンシー・クヮイ

2023年/香港
日本公開日:2025年6月6日
カラー/ユニビジウム/5.1ch/95分
字幕:小木曽三希子
配給:クロックワークス
©2023 Roundtable Pictures Limited

2023年 台湾電影金馬奨
 新人監督賞(ニック・チェク)/観客賞
2024年 香港映画評論学会大賞 推薦映画
2024年 ゴールデン・ブラウン・アワード2023
 ゴールデン・ブラウン賞
2024年 アジア・フィルム・アワード
 新人監督賞(ニック・チェク)
2024年 香港映画監督会年度大賞
 新人監督賞(ニック・チェク)
2024年 香港ネット映画評論家ハイライト大賞
 作品賞/監督賞・脚本賞・新人監督賞(ニック・チェク)
2024年 青年映画ノート
 十大中国語映画・監督賞(ニック・チェク)
2024年 香港電影金像奨 新人監督賞(ニック・チェク)
2024年 ウーディネ極東映画祭 観客賞


poster

story

 離婚問題を抱える中学教師のチェン(ロー・ジャンイップ)は、思春期の生徒たちに手をやいていた。喧嘩して同級生を階段から突き落としたヴィンセント(ヘニック・チョウ)。内申書に響くから反省文を書くよう促すが、拒否。両親は香港におらず「過失」でもいいと言う。委員長のウォン・ガーイー(サブリナ・ンー)が校長室へ連れていく。

 学校の清掃員がゴミ箱から自殺をほのめかす手記を見つける。誰が書いたのか問題となるが、共通テスト前の生徒たちを刺激したくない。委員長に協力を頼み、密かに探すことにする。だが、そこに書かれた一文が、チェンの頭から離れない。「僕は、どうでもいい存在だ」それは、幼い日の日記に書いてあった忘れられない言葉だ。

 別居中の妻ラム・シュッイー(ハンナ・チャン)は声優をしている。彼女から返して欲しいと頼まれたカバのぬいぐるみを探していると、小学生の頃のカバンが出て来た。中には日記が入っている。読まないまま心に封印していた日記。チェンは日記を読み始める…。

 チェンの家は弁護士として成功した父(ロナルド・チェン)と優しい母(ローサ・マリア・ヴェラスコ)、10歳の兄ヤウギッ(ショーン・ウォン)と9歳の弟ヤウチョン(カーティス・ホー)の4人家族。おとなしいヤウチョンは優秀で勉強もでき、ピアノも上手い。ヤウギッは天真爛漫だが勉強は苦手。ピアノもまるでダメだ。

 ヤウチョンが学校でピアノを披露した日、日記を書くと頭がよくなるという話を聞いたヤウギッは、日記を書くことにした。将来、香港大学に入るために。心意気はいいのだが、成績はふるわない。スパルタ教育の父親からいつも体罰を受けていた。母親が殴られることさえあった。それでもヤウギッは、大好きな漫画「パイレーツ」に励まされて頑張っている。生徒にやさしい先生になるために。

 だが「なりたい大人になれる」と励ましてくれていた「パイレーツ」の作者が飛び降り自殺をした後、ヤウギッは眠れなくなり精神的に追い詰められていく…。

アジコのおすすめポイント:

2023年の東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門のアジアン・シネラマ・香港フォーカスで上映され衝撃を受けた『年少日記』がついに日本公開です。テーマは日本でも問題となっている若者の自殺。主人公の教師は小学生の頃に経験した兄弟の死と家族の崩壊で心に深い傷を負い、教師としても家庭人としても自信が持てないでいます。誰にも心を開かず、辛いことに封印をして生きているのですが、残された日記を読み返すことで自分自身と傷に向き合い、新たな一歩を踏み出していきます。製作はイー・トンシンことデレク・イー。自身の経験を投影して脚本を書き、監督デビュー作として完成させたのはニック・チェク。その見事な手腕で、数々の新人監督賞を受賞しています。

主演は教師経験もあるロー・ジャンイップ。難しい役柄をリアルに体現しています。特に終盤のシーンはドラマ「御上先生」を彷彿とさせ胸アツでした。幼い兄弟を演じているのが、オーディションで選ばれたショーン・ウォンとカーティス・ホー。これまた難しい役柄を巧みに演じていて、驚かされます。(特に、兄役ショーン・ウォンの愛らしさは際立っており、一目見たら忘れられず。『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』にもちょっとだけ出演していたので続編にも登場するのではないかと期待中)映画祭以来、改めて観ましたが、やはり涙が止まりませんでした。大人だけでなく子どもの自殺も増えている昨今、困っている人、悩んでいる人がいたら、話を聞いて抱きしめてあげる。そんな人間にならなくてはと痛感します。

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