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FEAST -狂宴-

FEAST -狂宴-(Apag/FEAST)

監督:ブリランテ・メンドーサ
脚本:アリアナ・マルティネス
撮影:ラップ・ラミレス
編集:イザベル・デノガ
美術:ダンテ・メンドーサ
音楽:ジェイク・アベラ
出演:ココ・マーティン、ジャクリン・ホセ、グラディス・レイエス、リト・ラピッド、ジーナ・パレニョ、カルロス・カンラス

2022年/香港
日本公開日:2024年3月1日
カラー/シネスコ/タガログ語、パンパンガ語/104分
字幕:佐々木彩生
配給:百道浜ピクチャーズ
©2022 Hong Kong Pictures Heaven Culture & Media Company Limited.
2023年 メトロマニラ・サマー・フィルム・フェスティバル
 女優賞(グラディス・レイエス)
 オリジナル主題歌賞(「Paralaya」Andy Alviz)


poster


story

 町の市場を経営する裕福なトゥワソン家。敷地内では多くの使用人が住込みで働き、着々と宴の準備が進んでいた。社長のアルフレッド(リト・ラピッド)は息子ラファエル(ココ・マーティン)と共に市場へ食材を仕入れにでかけるが、帰りに衝突事故を起こしてしまう。スマホに気をとられた瞬間、2人が乗るトラックの前を走っていたサイドカー付きのバイクが、急にUターンしたのだ。

 大破したバイクの横に血だらけの男が横たわっていた。サイドカーに乗っていた幼い娘は怪我をして泣き叫んでいる。アルフレッドは動転するラファエルを助手席に移動させ、その場から逃げ去るように立ち去った。馴染みの洗車スタンドにトラックを預け、タクシーに荷物を積んで帰宅する2人。この日は大事な客を迎える日だが、ラファエルはショックを受けている。アルフレッドは妻エリース(ジャクリン・ホセ)に事故を打ち明け、弁護士に相談することにした。

 弁護士は被害者の治療費の負担と自首を勧め、ラファエルが病院へ様子を確かめに行く。娘は軽症で落ち着いていたが、男は重傷で意識がなかった。その男マティアス(カルロス・カンラス)のもとには、妻のニータ(グラディス・レイエス)と3人の子どもたちがかけつけていた。ラファエルは病院の福祉課に行き、マティアスたちの医療費を支払う。しかし、マティアスは植物人間になってしまい、ニータは泣く泣く治療を断念した。後日、葬儀の様子をラファエルも遠くから見守った。

 エリースはニータの家を訪ねて詫び、示談を願い出るが、ニータはきっぱりと断る。裁判が始まり、父のアルフレッドが息子の身代わりとなり出頭。2年4ヶ月から4年の刑期が言い渡される。アルフレッドは家業とニータの家族の面倒をエリースに任せ、収監された。エリースはニータと家族を使用人として招き入れ、トゥワソン家の名物であるパンパンガ料理を伝授する。

 父親不在の2つの家族は、共に支え合い、ときに複雑な感情を抱きながらも互いを理解し、尊重していった。そんな中、誠実なラファエルは真実を隠していることに悩み苦しみ、教会で懺悔するのだが…。

アジコのおすすめポイント:

交通事故の加害者と被害者の家族を巡る人間ドラマです。聖書からの引用文をタイトルに4つの章で構成されており、珍しいフィリピンの郷土料理など、大邸宅でのお料理のシーンや宴会場面がふんだんに盛り込まれています。そこだけ見れば『ポトフ 美食家と料理人』のようなグルメ映画にも似ているのですが、父親に罪を着せてしまった息子の後悔と悲しみが根底にあり、加害者の家で働くことになった被害者家族の心はどうなのか?そこがサスペンスになっております。アジコなんぞは最初にこの作品のポスターを観た時、あの『パラサイト 半地下の家族』を思い浮かべてしまったのですが…まったく違う作品でした。いい意味で裏切られたというか、この結末に安堵しました。戦争や争いが絶えない今だからこそ、人間にとって大事な何かを考えさせる作品になっているのではないでしょうか。監督はフィリピン映画界の巨匠ブリランテ・メンドーサ。主演はドラマで大人気を博したココ・マーティンですが、家族を守る二人の女性、『ローサは密告された』のジャクリン・ホセと被害者側の母を演じるグラディス・レイエスがとてもいいのです。香港国際映画祭と中国のヘブン・ピクチャーズによる「B2B」プロジェクト作品なので、香港が製作となっていますが、中身は純然たるフィリピン映画。メンドーサ監督らしいドキュメンタリータッチも生きています。

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▼公式サイト ▼予告編