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ポトフ 美食家と料理人

ポトフ 美食家と料理人(La Passion de Dodin Bouffant)

監督:トラン・アン・ユン
原作:マルセル・ルーフ著
   「美食家ドダン・ブーファンの生涯と情熱」
脚本:トラン・アン・ユン
撮影:ジョナタン・リッケブール
編集:マリオ・バティステル
アート・ディレクション:トラン・ヌー・イェン・ケー
美術:トマ・バクニ
衣裳:トラン・ヌー・イェン・ケー
料理監修:ピエール・ガニェール
出演:ジュリエット・ビノシュ、ブノワ・マジメル、エマニュエル・サランジュ、パトリック・ダスンサオ、ガラテア・ベルージ、ヤン・ハムネカー、フレデリック・フィスバック、ボニー・シャニョー・ラヴォワール、ジャン=マルク・ルロ、ヤニック・ランドライン、サラ・アドラー

2023年/フランス
日本公開日:2023年12月15日
カラー/ビスタ/5.1ch デジタル/136分
字幕:古田由紀子
配給:ギャガ
©2023 Curiosa Films- Gaumont - France 2 Cinema
2023年 カンヌ映画祭 監督賞(トラン・アン・ユン)
2023年 ボストン映画批評家協会賞
 撮影賞(ジョナタン・リッケブール)
2023年 サンセバスチャン国際映画祭 作品賞
2023年 ミルヴァレー映画祭 観客賞
2023年 モントクレア映画祭 観客賞


poster


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©Stéphanie Branchu
料理監修のピエール・ガニェールも出演!

story

 1885年、フランス郊外のシャトー。料理人のウージェニー(ジュリエット・ビノシュ)は、朝から庭や畑で料理に使う野菜やハーブを収穫する。肉や魚の材料も揃った。今日はこのシャトーの主、美食家ドダン(ブノワ・マジメル)の美食仲間4人を招いた午餐会があるのだ。遅れて起きてきたドダンは、助手のヴィオレット(ガラテア・ベルージ)が沸かした風呂に入る。厨房ではウージェニーが大きなオムレツを焼いていた。

 皆で揃って朝食を食べる。今日はヴィオレットの姪のポーリーヌ(ボニー・シャニョー・ラヴォワール)もいる。ウージェニーは絶対味覚を持つポーリーヌをドダンに会わせたかったのだ。食事の後、皆で料理を作り始めた。骨付肉やザリガニ、魚…丁寧に下ごしらえをし、ドダンはクネルを作った。多彩なソースをポーリーヌに味見させるドダン。彼女は材料に何が使われているか言い当てていく。

 2階のダイニングでは客たちが料理を待ち焦がれていた。一皿目の「喜びのコンソメ」に続いて、パイ詰め料理、舌平目のクリームソース、ジョワジー風仔牛のポワレ…。極上ワインと合わせながら、ドダンが切り分け、ヴィオレットがサーブする。彼らが食事をする間、ヴィオレットとポーリーヌも厨房で同じものを食べた。料理で忙しいウージェニーも一緒に食べ、彼女たちに味を覚えさせた。

 最後のデザートはノルウェー風オムレツ。ドダンがメレンゲをフランベしながら、中にアイスクリームが入っていると説明する。4人は「奇跡だ!」と感嘆するが「科学的に説明できる。メレンゲには耐熱性があるから」とドダン。感性と技術だけでなく、美味しさを裏付ける論理こそがドダンとウージェニーが目指す「真の美食」だ。食後、4人は厨房を訪れ、ウージェニーに感謝と賞賛の言葉を伝えた。

 その夜、ウージェニーはドダンに「ポーリーヌの才能を開花させたい」と話す。「彼女ならきっと新しい料理を作るわ」とウージェニーはわくわくしていた。ドダンは同意し、ウージェニーに求婚するが、いつものようにはぐらかされた。20年間、互いに高めあい、愛し合っている二人だが、自立と自由を尊ぶウージェニーは求婚を断り続けてきたのだ。

 だが、このところウージェニーは身体に不調を抱えていた。木陰で眠っていた彼女を心配したドダンは美食仲間の医者ラバス(エマニュエル・サランジュ)に診てもらうが、彼女の身体は弱っていた。ドダンは自分が心を込めて料理を作り、ウージェニーをもてなすことにする。そして、二人はついに婚約するのだが…。

アジコのおすすめポイント:

トラン・アン・ユン監督がこの映画を作ってくれたおかげで、アジクロでもご紹介いたします。食いしん坊のアジコにはまさに、眼福。100年以上も前のフランス郊外。近くに牧場や農場もある片田舎の森に佇むシャトー(お城)に住む、著名な美食家と彼のアイデアと哲学を美味しい料理に昇華させる天才料理人コンビの物語。厨房は広くて機能的。時代を感じさせる道具を使って、手作りの料理が丁寧に作られていく様は、まさにスペクタクルです!料理の音だけで、音楽は不要。フランス料理のソースの奥深さは、こういう風に作られているのかと納得します。二人は愛し合っているものの、夫婦であるよりも美食家と料理人の立場を優先。対等のプライドを持って高め合っています。しかし、料理人は身体の不調を自覚しており、後継者を育てるため、絶対味覚を持つ少女を美食家に紹介します。そして、やっと結婚を受け入れた矢先…二人はどうなっていくのか?

「料理に関する映画をつくりたかった」というトラン・アン・ユン監督。本作は女優であり、本作ではアートディレクションと衣装を担当している公私のパートナー、トラン・ヌー・イェン・ケーに捧げられています。先日の東京国際映画祭での来日時、主人公たちの関係は自分たちに似ているとノロけておられました。そして、主演の二人、ジュリエット・ビノシュとブノワ・マジメルもカップルだった時期があり、20年ぶりの共演。結婚はしていませんが、二人の間には娘も生まれております。10歳年下の彼との恋はブギウギみたいだったかも? 料理を監修したのはミシュランの三つ星シェフ、ピエール・ガニェール。監督が考えたメニューをすべて試作してチェック。プリプロの段階で、画面に登場する料理を準備したそうです。撮影中、カットの声がかかっても、俳優たちは食べ続けていたとか。ピエール・ガニェールは美食家たちを晩餐会に招くユーラシア皇太子のお抱え料理人役で映画にも出演しています。森の中での婚約発表お食事会シーンも、名画のようで素敵です。

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