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遠路はるばる

監督:アモス・ウィー
脚本:アモス・ウィー
撮影:リョン・ミンカイ
編集:ライ・グンドン、タン・ジュンケイ
美術:アイヴィ・チャン、ジーニー・マー
衣装:アイヴィ・チャン
主題歌:「緣路山旮旯」歌・マンソン・チョン ft. Luna Is A Bep
出演:カーキ・シャム、クリスタル・チョン、セシリア・ソー、レイチェル・リョン、ハンナ・チャン、ジェニファー・ユー、ヤソ・ウォン、ウィル・オー、ニン・チャン

2021年/香港
日本公開日:2023年5月19日(新世代香港映画特集2023)
カラー/シネスコ/5.1ch/96分
字幕:小栗宏太&山田愛玲
配給:活弁シネマ倶楽部
©2021 Dot 2 Dot Creation Limited.
2022年 大阪アジアン映画祭 正式出品
2022年 ウーディネ極東映画祭 正式出品

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遠路はるばる(緣路山旮旯/Far Far Away)

story

 デートアプリを開発中のハウ(カーキ・シャム)は28歳。香港中文大学情報工学科卒業。住んでいるのはオフィスに近い観塘区。性格はITオタク…自分のプロフィールを打ち込んでアプリの検証中だが、好評な出前アプリの仕事が優先になり作業は中断する。

遠距離恋愛補習塾
レッスン1:女の子の立場で考えよう

ハウは自分の席からよく目が合うプロジェクトマネジャーのエイリー(セシリア・ソー)が気になっている。誘うべきか迷っている内に、同僚たちとの食事会の後、彼女を車で送っていくことに。場所は大角仔。沈黙が続く。粉嶺を過ぎ、沙頭南まででいいとエイリー。そこから先は禁区で許可がないと入れないのだ…。

レッスン2:自分の気持ちを知ろう
ハウとウィン(ヤソ・ウォン)とトン(ウィル・オー)は茶果嶺で中高時代を過ごした仲良し三銃士。ハウが車を借りたのは悪友でファッション業界で働いているウィン。その妹ジジ(ニン・チャン)とトンが結婚することになり、今日は写真の撮影会。トンはネットメディア記者で、台湾と行き来している。そこにウィンの従妹ファファ(クリスタル・チョン)もやって来る。29歳のファファは、ハウを誘うつもりで来たのだ。彼女は元朗に住んでいる…。

レッスン3:自分らしく生きよう
中古車を買ったハウは、同じ車種に乗っていたミーナ(レイチェル・リョン)と知り合う。保険のセールスをしている彼女は何事にも積極的。すぐにつき合い始め、週末は彼女の住む大澳(ランタオ島の西)へ通うことになるのだが…。

レッスン4:幼い憧れに終止符を
ハウは撮影会に突如現れた学生時代のマドンナ、リサ(ハンナ・チャン)の住む郊外の田舎を訪れる。仕事の約束をしていたのだ。アーティストになったリサは、秘境にある梅子林(沙田区)の寒村で廃屋を借りて創作活動をしていた…。

レッスン5:自分の気持ちを伝えよう
病気で休んでいるエイリーに代わり、学生時代の憧れだったメラ姐ことメラニー(ジェニファー・ユー)が同僚になった。アイドルを辞めた彼女をハウが会社に誘ったのだ。メラ姐は中環に住んでいると思っていたが、そこから長洲島行きのフェリーに乗っていた。住んでいるのはランタオ島の澄翠邨だ。

アジコのおすすめポイント:

香港の今を伝える「新世代香港映画特集2023」2本目は2021年製作の新作。ITオタクのパッとしないアラサー青年が、5人の美女と付き合う(程度の差はあれど)機会に恵まれますが、5人が5人とも香港の中心地区から離れた郊外や僻地、離島に住んでいるという設定。デート文化のある香港では、女性を家にまで車で送るのが紳士の証し。というわけで、辺境の地・沙頭角、夕陽の名所・下白泥、大澳、文化保存地区になっている荔枝窩や梅子林、澄翠邨…と、ディープな香港巡りが好きな方には魅力的な場所が次々と登場します。


主人公たちが育った観塘区にある茶果嶺も登場。恋愛マニュアル仕立ての5章になっているのもユニークです。監督はライターから映像の世界に入り、ドキュメンタリーやTVドラマで活躍したアモス・ウィー(黄浩然)。長編3作目となる本作は、21年の香港アジア映画祭でクロージング作品に選ばれています。主演は16歳で俳優デビューし、監督デビューもしているカーキ・シャム(『私のプリンス・エドワード』にも出演)。5人の彼女をセシリア・ソー、クリスタル・チョン、レイチェル・リョン、ハンナ・チャン(『SPL 狼たちの処刑台』『リンボ』)、ジェニファー・ユー(『七人樂隊』)と新世代女優たちが総出演。主題歌を歌っているマンソン・チョンは実名でカメオ出演しています。軽いラブコメディでありながら、主人公の男性3人組、5人の女性それぞれに背景があり、彼らの現在位置、将来の展望など細かいところに香港の今、若者の本音が垣間見えるのが秀逸。主人公が親友から借りた車の後ろに、懐かしい「藤原豆腐店」の看板がチラッと見えるのもニクい演出。時の流れも感じさせ、香港ファンは必見です。映画を観た後は、香港の地図を広げて隅々まで味わってください。

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