私のプリンス・エドワード
（金都/My Prince Edward）
story
香港のプリンスエドワード（太子）地区にあるゴールデンプラザ（金都商場）は、結婚式の手配からウェディングドレス、写真撮影など、結婚に関するすべてが揃う店が並ぶショッピングモール。フォン（ステフィー・タン）は同棲中の恋人エドワード（チュウ・パクホン）の母親（パウ・ヘイチン）が経営するブライダルショップで働いている。エドワードは結婚式用の写真や記念映像の撮影担当だ。
しかし、当の二人は付き合い初めて7年8ヶ月も経つのに、未だ同棲のまま。ショッピングモールの上に住んでいる。結婚したら他に家を探すつもりだが、エドワードの母親は店の上にある部屋が気に入っており、部屋に難癖をつけてオーナーから売ってもらおうと企んでいる。彼女にとって、フォンはすでに嫁扱いだった。
ある日、結婚証明書には離婚歴も記載されることがわかり、ファンは愕然とする。高校時代、実家が嫌で飛び出したフォンは、同じショップで働くエドワードの妹アイー（イーマン・ラム）と部屋を借りて住んでいたことがあった。その頃、家賃稼ぎに偽装結婚をしたのだ。婚姻記録を調べると、2008年に25歳の大陸の学生、ヤン・シューウェイ（楊樹偉）と結婚したままになっていた。
アイーは相手を見つけてすぐに離婚したが、フォンは相手がどこにいるかわからない。焦っている時に、なんとエドワードがついにプロポーズ。皆の祝福ムードの中、花束と指輪をくれた。喜ぶ母親はさっそく、式の日取りや披露宴の話を始めるが、海外で挙式するつもりだったし、実家と不仲のフォンは披露宴も気が進まない。なにより、まず離婚しなければならない。離婚調停にはかなり時間がかかるようだ。
新聞に尋人の広告を出すと、ヤン・シューウェイ（ジン・カイジェ）は簡単に見つかった。彼もフォンを探していたのだ。離婚は2週間でできるが、アメリカに移住したいヤンは自由に移動できる香港IDを取得したがっていた。そのためには、まず夫婦写真を撮って結婚の証拠を作り、福州で公安の面接を受けなくてはならない。二人は密かに行動を始めるが、福州にでかける朝、エドワードにバレてしまう…。
アジコのおすすめポイント：
激動の歴史に翻弄されている香港。そんな中でも、香港映画はしたたかに生きているし、新しい映画が作られています。その中から生まれた傑作を紹介するのが、香港の今を伝える「新世代香港映画特集2023」。1本目の本作は、結婚にまつわるアラサー女性の夢と現実、自立を描いた自分探しのドラマ。今最も注目されている女性新人監督ノリス・ウォン（黄綺琳）の長編デビュー作で、香港のみならず中国本土の批評家にも高い評価を受けています。舞台は監督自身が住んでいるプリンス・エドワード地区にあるゴールデンプラザ（金都商場）。いつしか、ここから抜け出したいと願うようになった女性が恋人や結婚で縛られそうになった時、かつて偽装結婚した大陸男性と再会。彼も自由になるために香港IDを必要としているのですが、婚約者が妊娠し…。一方で、偽装結婚の相手が自分より若くイケメンだったため、心配になるエドワード。果たして、3人の未来はどうなるのか？ 主人公を演じるのはCookiesのメンバーとしてデビューし、歌手としても活躍するステフィー・タン。音楽担当のイーマン・ラムが、親友のアイー役で出演。エドワード役のチュウ・パクホンも、演劇やバンド活動など多彩な活躍で高い評価を受けるアーティストです。エドワードの母親役でベテランのパウ・ヘイチンも出演。エンディングの解釈は人それぞれですが、主人公が自分の意思で、未来に進んで行くのは間違いないでしょう。ステフィーが歌う主題歌もご堪能ください。
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