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郊外の鳥たち

監督:チウ・ション
脚本:チウ・ション
撮影:シュー・ランジュン
編集:ジン・ディー、リアオ・チンソン
美術:ユー・ズーヤン
録音:ロウ・クン
音響:トゥー・ドゥーチー
音響編集:ウー・シューヤオ
音楽:シアオ・ホー
出演:メイソン・リー、ゴン・ズーハン、ホアン・ルー、チェン・シュエンイー、シュー・シュオ、チェン・ジーハオ、チェン・イーハオ、シュー・チョンフイ、シアオ・シアオ、ドン・ジン、ワン・シンユー

2018年/中国
日本公開日:2023年3月18日
カラー/1:1.33/5.1ch/DCP・Blu-ray/114分
字幕: 奥原智子
配給:リアリーライクフィルムズ + ムービー・アクト・プロジェクト
©Beijing Transcend Pictures Entertainment Co., Ltd., Quasar Films, CForce Pictures, Beijing Yoshow Films Co., Ltd., Three Monkeys Films. Shanghai, Beijing Chase Pictures Co., Ltd., Kiframe Studio, Flash Forward Entertainment/ReallyLikeFilms
2018年 ロカルノ国際映画祭オフィシャルセレクション
2018年 マカオ国際映画祭&映画賞
 NETPAC(新人監督)賞(チウ・ション)
2018年 西寧ファースト国際映画祭 作品賞
2018年 ファースト・ユース映画祭 作品賞
2019年 Qシネマ国際映画祭 新人監督賞(チウ・ション)
2019年 サンフランシスコ国際映画祭
 審査員特別賞部門 新人監督賞(チウ・ション)
2020年 フェローアイランド映画祭
 ゴールデンカープ賞・中国 新人監督賞(チウ・ション)


poster

郊外の鳥たち(郊區的鳥/Suburban Birds)

story

 再開発が進む中国の地方都市。団地で地盤沈下が起こり、調査のためハオ(メイソン・リー)たちが測量を行っている。通報者は団地に住むツバメ(ホアン・ルー)という女性。エレベーターで25階へ行くと、ドアの開く位置がズレていたという。ハオはツバメに惹かれていた。翌日、橋の上から河川を眺めていたハオは、河原に望遠鏡を落としてしまう。草むらに落ちた望遠鏡は、光ったように見えた。

 その夜、太った社長(ワン・シンユー)に誘われ、仕事仲間で飲みに行く。アリ(ドン・ジン)が夢の話をし、社長が夢占いを始めた。ハオが「トンネルの掘削機が大きなミネラルウォーターのボトルに突き当たるが、どうしても蓋をあけることができない」夢の話をすると、欲求不満とからかわれた。ホテルに戻ると、同じフロアでツバメを見かけた。ハオは電話をかけ、翌朝はツバメのベッドで目覚める。

 雨の中、傾いている廃ビルの中に入るハオ。階段をあがると、突然つまずいてしまう。起き上がると、目の前に小学校の廊下があった。窓から教室に入り込み、机の中を覗くと、自分と同じ名前の少年の日記帳が出てきた。9月7日から10月26日まで。仲良しだった少年少女6人組の出来事が綴られている。

 6人は森で鳥の巣を採って遊んでいた。草むらに寝そべり、年嵩のじいさん(シュー・チョンフイ)が彼女の写真を見せて、皆に誰が好きか尋ねる。太っちょ(チェン・イーハオ)はハオ(ゴン・ズーハン)とジアジア。黒炭(チェン・ジーハオ)はティン(シュー・シュオ)。ティンも黒炭。キツネ(チェン・シュエンイー)はハオ。モテモテのハオはワン先生と答えた。別れ際、太っちょはそれぞれの家の前で、いつも友だちを抱きしめた。

 開発前の文井は郊外の新エリアになろうとしていた。それぞれの未来を絵に描く6人。だが、ティンがハオと付き合いだした頃から、グループに波風が立つ。キツネは犬を飼い始めた。そんなある日、太っちょが登校しなくなり、皆で家を尋ねることにする。壊された建物の瓦礫を通り抜け、進む子どもたちは、途中で次々といなくなる…。

 ハオ(メイソン・リー)は小学校と隣の建物の地下に水漏れがあり、どこかに水が溜まっているはずと主張する。地下から見つかった謎の紙きれ。森にいる青い鳥。暗闇のバースデーケーキ。ハオは何かに気づき、涙する…。

アジコのおすすめポイント:

中国からまた新たなタイプの作品が登場しました。大人と子ども、2人の主人公をめぐる2つの物語が同時進行し、交錯し、示唆に富んだエピソードが美しい映像で綴られていきます。少年は主人公の過去なのか、それとも、未来の何かを象徴しているのか? ヒントはたくさん隠されており、観る人によっていくつもの解釈が生まれそうです。監督は杭州で生まれ、大学を卒業後に香港で映画を学んだチウ・ション。『凱里ブルース』のビー・ガンや『春江水暖』のグー・シャオガンらと同じ中国第8世代(30代から40代)の新鋭で、本作が長編デビュー作です。「無邪気さがどのように失われていくかを探った」という監督。土地開発と地盤沈下という中国ならではの背景に、貧富の差やセクシュアリティといった普遍的なテーマも匂わせつつ、時間軸を鮮やかに飛び越える演出で驚かせる本作。ロカルノ映画祭でも注目され、『スタンド・バイ・ミー』meets カフカの「城」とも称賛されています。主演は台湾のメイソン・リー(アン・リー監督の息子さん、という説明はもう要らないかな)。子どもたちは演技経験のない素人から選ばれたとか。美少年で話題のゴン・ズーハンだけでなく、本作で本格デビューしたドン・ジンにも注目です。シアオ・ホーの音楽もイケてます。


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