logo


ASICRO FOCUS file no.71

話題の洋画作品で活躍するアジアの俳優と監督たち

 かつてハリウッド映画に登場する日本人といえば、黒ぶち眼鏡をかけ、首からカメラをぶら下げた小男…というステレオタイプなものでしたが、それも今や遠い昔のお話。社会変化とインターネットの普及のおかげで、急速に進むグローバリゼーションの中、アジア間だけでなく、いわゆる欧米メジャー系の洋画作品(ここではアジア圏以外の作品とします)でも、欧米の俳優たちと対等に重要な役柄で活躍するアジアの俳優たちが増えて来ました。

パイレーツ・オブ・カリビアン3

『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』の
チョウ・ユンファ、ジェフリー・ラッシュ、ジョニー・デップ

(c)Disney Enterprises, Inc.
 アジアの監督たちも、その手腕をおおいに発揮しています。純粋なハリウッド映画を撮影して、アカデミー賞まで受賞するほど。今年にいたっては、あのマーチン・スコセッシ監督が、香港映画『インファナル・アフェア』をリメイクした『ザ・ディパーテッド』でアカデミー賞他、多数の賞を受賞。その余勢をかって、アンドリュー・ラウ監督の最新作『傷城』(邦題『傷だらけの男たち』)も、リメイクが決定するなど、アジアのソフト力も大きく進出しているようです。

 ちょうどこの時期、そういったアジアの俳優や監督たちによる洋画作品の公開が続きますので、それらの話題作を中心に、アジアという視点からご紹介していきます。

真田広之

『サンシャイン2057』でイカロス2号の船長を演じる真田広之
(c)2007 Twentieth Century Fox.
 まずは、只今公開中のダニー・ボイル監督による『サンシャイン2057』。燃え尽きようとしている太陽を再び輝かせるために、巨大な核装置を搭載したイカロス2号に乗り組み、人類を救うために太陽へ向う8人の宇宙飛行士たちによるSFアドベンチャー。「未来の宇宙ミッションではアジア人が重要な役割を担うのではないか」というアイデアから、各国から集められた精鋭のうち3人はアジア系となっています。

ミシェール・ヨー

植物学者を演じるミシェール・ヨー
(c)2007 Twentieth Century Fox.
 監督が『たそがれ清兵衛』を観て「堂々とした並々ならぬ存在感」に惹かれオファーしたという真田広之は、船長のカネダを冷静沈着な男として好演。また、船内に酸素と食糧を供給するオキシジェン・ガーデンを担当する植物学者は、マレーシア出身の香港女優ミシェール・ヨー。得意のアクションシーンこそありませんが、植物を愛する学者肌の女性コラゾンを熱演しています。航海士トレイを演じるベネディクト・ウォンは、イギリスで活躍するアジア系俳優。船内ではクルーたちの料理も担当。イカロス号での食事のシーンには、お箸も登場していました。

 ハリウッド大作『ラストサムライ』からチェン・カイコー監督の『PROMISE』、ジェームズ・アイボリー監督の『上海の伯爵夫人』にも出演した真田広之は、今後もジャッキー・チェンと共演した『ラッシュアワー3』、アンソニー・ホプキンスと共演した『The City of Your Final Destination』と海外作品が続く予定です。

コン・リー

レディムラサキを演じるコン・リー
(c)Delta (Young Hannibal) Limited 2006 and 2006
Artwork/(c)The Weinstein Company

 お次は公開が始ったばかりの『ハンニバル・ライジング』。ハリウッド・デビュー作『SAYURI』で堂々とした演技力を見せつけたコン・リーが、孤児となった若きハンニバルを教養ある青年に育てていく義理の叔母レディムラサキを演じています。『SAYURI』に続く日本人女性の役ですが、「重要なのは国籍ではなく、どういうキャラクターなのかということ」と語るコン・リー。お屋敷の地下に先祖を祀り、鎧や刀を奉る様は時代劇のようでもあり、日本人から見るとちょっと変かもしれませんが、そこは映画。アジア的な神秘や精神の表現と解釈しましょう。そして、その世界観がハンニバルに思わぬ影響を与えていくことになります。ハンニバルが美食家になっていくのもこの頃から。本作でも、ハンニバルがレディムラサキとお箸でエレガントに食事するシーンがあったような…。(続きを読む)


続きを読む P1 > P2
更新日:2007.4.26
●back numbers
アジアの監督による洋画作品

フェイス・オフ

フェイス・オフ

監督:ジョン・ウー
主演:ジョン・トラボルタ
ニコラス・ケイジ

M:I 2

ミッション・インポッシブル2

監督:ジョン・ウー
主演:トム・クルーズ

●マトリックスシリーズ
こちらはアクション監督にユエン・ウーピンを起用。また様々な場面でアジア的な演出がなされています。ハリウッドに進出したアクション俳優のコリン・チョウ(『SPIRIT』)も、セラフ役で2、3作目に登場。

マトリックス

マトリックス

監督:ウォシャオスキー兄弟
主演:キアヌ・リーブス

・マトリックス2/リローデッド
・マトリックス3
 /レボリューションズ

ブロークバック・マウンテン

ブロークバック・マウンテン

監督:アン・リー
主演:ヒース・レジャー
ジェイク・ギレンホール