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わたしは異邦人

わたしは異邦人(Apollon by Day Athena by Night)

監督:エミネ・ユルドゥム
脚本:エミネ・ユルドゥム
撮影:バルシュ・アイゲン
編集:セルダ・タシクン
美術:エリフ・タシチュオウル
音響:メティン・ボズクルト
音楽:バルシュ・ディリ
出演:エズキ・チェリキ、バルシュ・ギョネネン、セレン・ウチェル、ギゼム・ビルゲン、デニズ・テュルカリ、ラーレ・マンスル、ネイラ・カヤバシュ、メリヒ・デュゼンリ

2024年/トルコ
日本公開日:2025年8月22日
カラー/トルコ語/112分
字幕:森澤海郎
配給:パンドラ
2024年 東京国際映画祭 アジアの未来部門 作品賞
2025年 イスタンブール映画祭 トルコ映画批評家連盟賞
2025年 アンカラ・フライイング・ブルーム国際女性映画祭
 審査員特別賞


poster

story

 ダフネ(エズキ・チェリキ)は地中海に沿って走るバスに乗っている。目的地は古代遺跡が残る都市シデ。後ろには旅を始めてから知り合ったフセイン(バルシュ・ギョネネン)がいる。彼は途中で友人の所に寄るとバスを降り、シデで会おうと別れた。ダフネはずっと黙っている。フセインはダフネにしか見えないのだ。

 宿のフロントには誰もいない。適当な部屋で休んでいると、大家のセルマ(デニズ・テュルカリ)がやってきた。フロントで手続きをする。父はアダム、母はイブ…ダフネは孤児だった。イスタンブールで生まれてすぐ母親に捨てられた。手がかりは「アナトリアの伝説」という本と写真。アポロンの聖なる樹の前にいる女性の顔はわからない。

 フロントには、口やかましい太った中年男(メリヒ・デュゼンリ)がいた。セルマの夫らしいが、彼女には見えない。ダフネは知らない顔をして町へ出る。シデ博物館に行くと、ナジフェ(セレン・ウチェル)という女性が「取引したい」と近づいてきた。母親を見たので教える代わりに、娘のハザル(ネイラ・カヤバシュ)と話をして欲しいという。

 ナジフェは娼婦だったが、父親の暴力から娘を守り、送金して育て上げた。だが、ハザルはそのことを知らず、母親を軽蔑していた。ハザルは心を開かず、交渉は決裂。フセインと夜の町に出る。この辺りにいると思う、とダフネ。彼女は母親もすでに死んでいて、その霊が自分に会いたがっていると信じていた。

 そしてついに、写真の樹がある場所を見つける。ここに違いない。ダフネが眠っていると、古代の女性(ギゼム・ビルゲン)が現れ本と写真をのぞいた。翌日、ダフネとフセインの前に彼女が現れ、遺跡に導かれる。彼女は言葉が話せない。ダフネが本の一節を読む代わりに、母親のいる場所を教えてくれた。明日の朝9時に、円形劇場にいると。

 だが、翌朝フセインがやって来て、行かない方がいいと忠告する。時には真実の方が残酷なこともあると。忠告を無視して、円形劇場に向かったダフネが見たのは、大勢の観光客の前でツアーガイドをしている母サミヤ(ラーレ・マンスル)だった。母は生きていたのだ…。

アジコのおすすめポイント:

無愛想だけど「見える」女性が、ユニークな霊たちの助けを借りて自分を捨てた母親探しをするロード・ムービーです。お互いの願いをきくことで母の霊(と思っている)を探すのですが、自己中心的でクールな彼女の助けはあまり効力がなく。そして、実の母親は…という展開。ずっと彼女について回る気のいい男性から「人の気持ちがわからないと、みじめになるぞ」と言われ、彼女を徐々に変えていきます。後半はすべての謎が回収され、気持ちのよい展開に。皆がその使命を果たし、ある者は海へ、ある者は新たな旅へ。感動のラストが待っています。監督&脚本は本作で長編デビューを飾ったエミネ・ユルドゥム。ギリシャ神話のような遺跡のあるシデを舞台に、母親探しの旅で成長する女性の姿をユーモラスに描き、昨年の東京国際映画祭「アジアの風」部門で見事、作品賞(『昼のアポロン 夜のアテネ』のタイトルで上映)を受賞しました。母と子、夫と妻、古代の巫女…様々な女性の生き方が描かれた女性映画でもあります。

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