story
ダフネ(エズキ・チェリキ)は地中海に沿って走るバスに乗っている。目的地は古代遺跡が残る都市シデ。後ろには旅を始めてから知り合ったフセイン(バルシュ・ギョネネン)がいる。彼は途中で友人の所に寄るとバスを降り、シデで会おうと別れた。ダフネはずっと黙っている。フセインはダフネにしか見えないのだ。
宿のフロントには誰もいない。適当な部屋で休んでいると、大家のセルマ(デニズ・テュルカリ)がやってきた。フロントで手続きをする。父はアダム、母はイブ…ダフネは孤児だった。イスタンブールで生まれてすぐ母親に捨てられた。手がかりは「アナトリアの伝説」という本と写真。アポロンの聖なる樹の前にいる女性の顔はわからない。
フロントには、口やかましい太った中年男(メリヒ・デュゼンリ)がいた。セルマの夫らしいが、彼女には見えない。ダフネは知らない顔をして町へ出る。シデ博物館に行くと、ナジフェ(セレン・ウチェル)という女性が「取引したい」と近づいてきた。母親を見たので教える代わりに、娘のハザル(ネイラ・カヤバシュ)と話をして欲しいという。
ナジフェは娼婦だったが、父親の暴力から娘を守り、送金して育て上げた。だが、ハザルはそのことを知らず、母親を軽蔑していた。ハザルは心を開かず、交渉は決裂。フセインと夜の町に出る。この辺りにいると思う、とダフネ。彼女は母親もすでに死んでいて、その霊が自分に会いたがっていると信じていた。
そしてついに、写真の樹がある場所を見つける。ここに違いない。ダフネが眠っていると、古代の女性(ギゼム・ビルゲン)が現れ本と写真をのぞいた。翌日、ダフネとフセインの前に彼女が現れ、遺跡に導かれる。彼女は言葉が話せない。ダフネが本の一節を読む代わりに、母親のいる場所を教えてくれた。明日の朝9時に、円形劇場にいると。
だが、翌朝フセインがやって来て、行かない方がいいと忠告する。時には真実の方が残酷なこともあると。忠告を無視して、円形劇場に向かったダフネが見たのは、大勢の観光客の前でツアーガイドをしている母サミヤ(ラーレ・マンスル)だった。母は生きていたのだ…。
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