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青春の反抗

監督:スー・イーシュエン
脚本:スー・イーシュエン
撮影:チェン・チーウェン
編集:チェン・ペイイン
美術:チュー・ユーチー
衣装:リー・イーイン
音楽:トマ・フォゲンヌ
出演:リー・リンウェイ、イェ・シャオフェイ、ロイ・チャン、チェン・シンタイ、ホアン・ジョウミン

2023年/台湾
日本公開日:2024年3月8日
カラー/スタンダード/5.1ch/114分
字幕:樋口裕子
字幕協力:東京国際映画祭
配給:ライツキューブ
©2023 Suz Creative Studio
2023年 台北映画祭 新人賞(イェ・シャオフェイ)


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poster

青春の反抗
(青春並不溫柔/Who'll Stop the Rain)

story

 1987年、台湾では38年間も続いた戒厳令が解かれ、90年代は抗議活動が相次いでいた。自由で開放的な思潮が、過去の権威を否定したのだ。

 両親の離婚で母親(ホアン・ジョウミン)と暮らすリャン・チーウェイ(リー・リンウェイ)は、大学入学を機に家を出て同級生たちと暮らし始める。大学では美術を専攻。だが、自由で開放的なチーウェイのデッサンは厳格な主任教授の偏見にさらされ、雑だとゴミ扱いされてしまう。構内では、横暴な主任教授を糾弾するビラがまかれていた。

 外では美術科の学生たちがデモを行っている。チーウェイはビラを配っていた学生から「興味があれば、階段教室の集会へ来て」と言われる。それが、ウェイ・チン(イェ・シャオフェイ)との出会いだった。集まっていた学生たちは創作の自由を主張していた。

 西洋美術史の講義中、先輩のワン・イークァン(ロイ・チャン)とウー・ターパオ(チェン・シンタイ)が講義内容を非難。素晴らしい絵を描いているチェン・タイダが、主任教授に目をつけられ退学になることを問題視した。チーウェイはルームメイトと学生会のストライキに参加。自由な雰囲気をまとうウェイ・チンに惹かれていく。

 ウェイ・チンはイークァンと付き合っていた。彼女からチーウェイを紹介されたイークァンは、素直なチーウェイに好感を持つ。ウェイ・チンは複雑な性格で、イークァンにもわからないところがあった。集会はいつもウェイ・チンの家で行われていたが、彼女自身は法科の学生だ。周りの皆は彼女が政治家の娘だからだと噂していた。政治家が自分たちの活動に興味を示せば有利だからだ。

 煙草とビールが手放せないウェイ・チンには退廃的なところがある。初めてポケベルを持ったチーウェイは、ウェイ・チンと連絡を取り始める。そして、二人で海を見に行った日、自然にくちづけを交わすのだが…。

アジコのおすすめポイント:

長らく続いた国民党による戒厳令が解かれ、自由な機運が高まっていた時期の台湾を背景に、実際にあった学生運動をもとに青春時代の葛藤と愛を描いた人間ドラマです。監督はスー・イーシュエン。Netflixでドラマ版「返校」(2020) を監督した女性監督。本作は、2018年にタレンツ・トーキョーなどで企画が選出され、初長編作として完成。昨年の東京国際映画祭「台湾ルネッサンス2023」にて、インターナショナル・プレミア上映されました。主演は「返校」で人気を博したリー・リンウェイと、独特な個性で注目されたイェ・シャオフェイ。二人の間で微妙な立ち位置になる青年をロイ・チャンが演じています。最初に出会った頃から、ウェイ・チンはずっとチーウェイを妖しい視線で追っていて、チーウェイも男前なウェイ・チンに惹かれていくのですが、ウェイ・チンの心の内はちょっと複雑。過去の体験や父親との確執もあり、恋人のイークァンにも反抗的。純粋なチーウェイはそんな彼女をどのように受け止めていくのか…。チーウェイ役のリー・リンウェイが本作ではとても自然体で、可憐な女性を魅力的に演じています。少年から少女になる葛藤を演じた『I 〜人に生まれて〜』とはまったく違う印象。本作のインタビューで「女スパイを演じてみたい」と語っていますが、タン・ウェイを彷彿とさせるルックスはとても似合いそう。対するイェ・シャオフェイはまさに男前な演技に弱さも垣間見せ、二人とも今後が楽しみな若手女優です。


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