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宇宙探索編集部

宇宙探索編集部(宇宙探索編輯部/Journey to the West)

監督:コン・ダーシャン
脚本:コン・ダーシャン、ワン・イートン
撮影:マティアス・デルヴォー
編集:フー・シュージュン
美術・衣装:グォ・シンボー
音響:ジャン・グオドン、ヤン・リウ
VFX:ディン・ヤンライ、アレン・ウェイ、スン・ハオユエン
音楽:スー・ユンイン
主題歌:「生活倒影」(詞・曲・歌:スー・ユンイン)
出演:ヤン・ハオユー、アイ・リーヤー、ワン・イートン、ジャン・チーミン、ション・チェンチェン

2021年/中国
日本公開日:2023年10月13日
カラー/1.78:1/5.1ch/118分
字幕:磯尚太郎
字幕協力:大阪大学外国語学部 小川裕
配給:ムヴィオラ
©G!Film Studio Beijing Co., Ltd.

2021年 平遥国際映画祭
 作品賞/シネフィル批評家賞
 中国新世代部門 ヤング審査員賞
 観客賞部門 ヒドゥンドラゴン作品賞
2021年 米影精神映画賞 作品賞
2022年 香港国際映画祭 女優賞(アイ・リーヤー)
2022年 全州国際映画祭
 アジア映画批評家連盟賞(コン・ダーシャン)
2022年 北京国際映画祭 注目未来部門
 作品賞(コン・ダーシャン)/男優賞(ヤン・ハオユー)
2022年 青年電影手冊トップテン
 傑出作品賞/監督賞(コン・ダーシャン)
 脚本賞(コン・ダーシャン、ワン・イートン)
 主演男優賞(ヤン・ハオユー)
2023年 北京大学生映画祭
 デビュー監督賞(コン・ダーシャン)
 脚本賞(コン・ダーシャン、ワン・イートン)
2023年 ウェイボー・ムービー・アワード
 今年の新人賞(ワン・イートン)
 今年の新人監督賞(コン・ダーシャン)
 今年の口コミ映画賞

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story

 古いテレビのドキュメンタリー映像。人気UFO雑誌「宇宙探索」の若手編集者タン・ジージュン(ヤン・ハオユー)が取材を受け、世界初のテレビ放送について解説している。その時の電波は今も宇宙を漂っていると…。

 30年後、タンが編集長になった「宇宙探索」は廃刊の危機に面していた。協賛予定のアポロ社が視察に来て、古参の編集部員チン・ツァイロン(アイ・リーヤー)が歓待。編集部の宝である宇宙服を披露したので、タンが着ることになるが、空気が循環せず呼吸困難に。救急車やレスキュー隊も出動し、脱げないヘルメットを切断。タンは病院へ運ばれた。

第1章:UFOを追う人

 テレビの砂嵐はビッグバンの残照と、タンは信じていた。そのテレビが壊れた翌日、気象庁に勤めるナリス(ジャン・チーミン)に電話して異変を尋ねると、オリオン座のα星が弱まっているという。爆発したのかもしれない。タンはネットで超常現象がないか調べ、その時間帯に撮影された不思議な光の落下と、その下にあった獅子像がくわえていた玉がなくなったことを突き止める。

 因果関係を確信したタンは、宇宙服をSF映画『流転の(地)球』の撮影班に売って資金を作り、チンとナリスを連れて北京西駅から成都へ向かう。

第2章:苦難の道のり

 成都では、タンのファンという22歳のシャオシャオ(ション・チェンチェン)が合流した。最初に訪ねたのは、動画を投稿したシャオだ。山東省にいた頃、畑に墜落したUFOと遭遇した彼は、宇宙人の死体を冷凍保管していた。520元払えば見せてくれるという。チンの制止をはらいのけ、520元支払うタン。自分の話を信じ、最初に520元払った人が運命の人と決めていたシャオは、タンにメッセージを伝え、今も伸びているという宇宙人の脚の骨を渡した。

 その骨を持って、4人は獅子像のある鳥焼窩村へ向かう。村では誰もが、その日の出来事を覚えていた。獅子像のそばに光る人がいて玉を持って行った、ロバも消えてしまった、と。獅子像がある家の主はすでに亡くなっていたが、一人息子のスン・イートン(ワン・イートン)が住んでいた。村の放送係を務め、自分が書いた詩を読むイートンは、いつも頭に鍋を被っている。

 イートンは時々気絶した。その時、タンの相棒のガイガー・カウンターが激しく反応する。鍋が宇宙からの信号を受信しているに違いない。村には隕石ハンターの赤帽子おじさん(シャン・チービン)も来ていた。タンとは旧知の仲だ。彼は「ここではない」と言って去る。タンたちはしばらくイートンの家に滞在する。

 ある日、イートンはタンだけに打ち明ける。「未知の地球外生命体が『石の玉を取り返せ』と信号を発している。出発の時は、獅子像にスズメが群がる時だ」と…。

アジコのおすすめポイント:

宇宙人の存在を信じ、宇宙人に会う夢を諦めない編集長がついに夢に近づく旅を、コミカルかつ深遠に描いたSFヒューマンドラマです。北京電影学院の卒業制作として本作を完成させたのは、新鋭コン・ダーシャン。若手監督の活躍が著しい中国から、またまたユニークな才能が登場しました。編集部のモデルとなったのは実在の雑誌「飛碟探索」。日本でもかつて盛んだったUFOブーム。中国でもあったんですね。そんな学生(監督)の才能に注目した、大学副教授の名プロデューサー、ワン・ホンウェイ(『こんにちは、私のお母さん』)と、『流転の地球』(19年) のグォ・ファン監督(本作にもカメオ出演)という強力なサポートを得て、コロナによる中断も乗り越え、2020年11月にクランクイン。完成後は世界の映画祭を席巻し、中国全土で公開されたのは今年の4月でした。夢見る編集長を演じたのは、ドラマや舞台で活躍する演技派ヤン・ハオユー(『無言歌』)。ちょっとクー・ヨウ(葛優)に似てます。現実的な編集員をモンゴル出身の大女優アイ・リーヤーが演じています。そして、一番気になる男を演じたのは、脚本も担当しているワン・イートン。コン・ダーシャンとは監督仲間でもあるのですが、この無表情でありながらオーラが半端ない彼は俳優としての素質もありそう。物語はこの後、第3章、第4章、最終章と続きます。西遊記(西への旅)へのオマージュもあり、宇宙人の脚の骨はまさに如意棒。最後、ものすごく長くなっているのでご注目を。そして、壮大な旅から個人世界へ戻ってくるラストは感動的です。もう1つ、エンディングロールで流れる主題歌。スー・ユンインの透明感溢れる美しい歌声もご堪能ください。

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