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1秒先の彼

監督:山下敦弘
原作:チェン・ユーシュン『1秒先の彼女』
脚本:宮藤官九郎
撮影:鎌苅洋一
編集:佐藤崇
録音:小宮元
美術:松尾文子
衣裳:江口久美子
音楽:関口シンゴ
主題歌:「P.S.」(作詞・作曲・歌/幾田りら)
出演:岡田将生、清原果耶、荒川良々、福室莉音、片山友希、加藤雅也、羽野晶紀、しみけん、笑福亭笑瓶、松本妃代、伊勢志摩、柊木陽太、加藤柚凪、朝井大智、山内圭哉

2023年/日本
日本公開日:2023年7月7日
カラー/ヨーロピアンビスタ/5.1ch/DCP/119分
配給:ビターズ・エンド
©2023 『1秒先の彼』製作委員会
2023年 台北映画祭 ガラ・プレゼンテーション部門 正式出品


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poster

1秒先の彼(快一秒的他/
 One Second Ahead, One Second Behind)

story

 京都。交番の前で悩んでいる男がいた。彼の名は皇一(スメラギハジメ/岡田将生)。生まれた時から何事もワンテンポ早く、記念写真はすべて目をつぶっている。そんな彼がこともあろうに、大切なデートの1日を失ってしまう。楽しみにしていた朝、目覚めるとなぜか日焼けしており、翌日になっていたのだ。彼が提出した紛失物届は「昨日」。

 ハジメは妹の舞(片山友希)、その彼氏のミツル(しみけん)と3人で長屋暮らしをしている。職場は中加茂郵便局。配達員として12年勤めたが、度重なる信号無視とスピード違反で免許停止になり、今は窓口業務だ。30歳になるが、まだ決まった相手がいない。新人局員のエミリ(松本妃代)とは交際26日でふられた。性格が災いし、見た目は100点なのに日々減点されてしまうのだ。

 そんなハジメが、路上で「女ひとり」を歌うミュージシャンの桜子(福室莉音)に一目惚れ。彼女もまんざらではなく、郵便局に自分のCDを届けに来てくれた。手書きのメッセージにはSNSのIDも。有頂天のハジメがラジオを聴いていると、DJの笑福亭笑瓶(笑福亭笑瓶)から電話がかかってくる。「秒速のポストマンさん、今日のテーマは『失くしてしまった物』です」

 「それは、お父さんや」ハジメは10数年前の夜を思い出す。そうめんの薬味に使うミョウガを買いに出たまま、ふらりといなくなった父・平兵衛(加藤雅也)。パピコを買ってきてくれるはずだったのに。その年、ハジメは高校を中退し、郵便局に就職した。母(羽野晶紀)は今も、宇治の実家で気丈に暮らしている。

 桜子が郵便局に、なんと弁当を差し入れてくれた。早速、デートの約束をするハジメ。ところが、桜子には病気の弟がいて、大金を必要としていることがわかる。二人は翌日開催される宇治の花火大会に出場し、ダンスの練習をしてベストカップル賞を狙うことにする。当日の朝、勝負服を着てバスに乗り込むハジメ。

 ところが、目覚めると真っ赤に日焼けし、ポケットには大量の砂が入っていた。桜子には連絡がつかず、郵便局へ行くと営業しているではないか! 放心状態のまま窓口につくと、いつも切手を買いに来るカメラをぶら下げた女子大生(清原果耶)が真っ赤に日焼けし、いつもより分厚い封筒を差し出して微笑みかけた。「ありがとう、さいなら」

 そして昼休み、なんと写真館の店頭に自分が映った大きな写真が飾られていた。しかも、目をつぶっていない!身に覚えのない写真について店主(笑福亭笑瓶)に尋ねると「あれは、うちのバイトのレイカちゃんが撮ったんや」。場所は天橋立らしい。ハジメははっとする。もしかして…あのカメラ女子では。

 預かった手紙を確かめると、差出人は「長曾我部麗華」。宛名は「秒速のポストマン様」。そして宛先は「天橋立郵便局私書箱16号」となっていた…。


アジコのおすすめポイント:

なんと、なんと!あのチェン・ユーシュン(陳玉勲)監督の2020年の大ヒット作『1秒先の彼女』が、早くも日本でリメイクされました。監督は山下敦弘、そして脚本は宮藤官九郎。京都を舞台に、時間をめぐるファンタジー・ラブストーリーが、まったりと愛らしく展開していきます。ポイントは主人公が男女逆転しているところ。映画やドラマで大活躍中の岡田将生を郵便局勤めのワンテンポ早い彼、同じく映画・ドラマで活躍するモデル出身の清原果耶がワンテンポ遅い女子大生の彼女を演じ、オリジナルとはまた違った世界を紡いでいきます。ストーリーラインはほぼ同じなのですが、細かい設定や登場人物が違っており、本作ならではの味わいに。原作ではバスの運転手だった彼が女子大生になっているため、本作ではバスの運転手として荒川良々が登場。さすがの存在感でクドカン・ワールドの持ち味を出してくれています。舞台が妖怪も出現する京都、というのも効いており、宮津湾にかかる天橋立を思い出の海辺の町に置き換えているのもグー。京都というと、大阪から見た内陸の古都というイメージが強いのですが、海もあるんですね。そうめんの薬味を買いにでかけたまま蒸発してしまった彼のお父さん役は、アジア映画にも馴染みの深い加藤雅也。豆花がパピコになっているところも、日本人というかクドカンらしくて笑えます。名前の画数という発想も凄い。この「時間」というテーマは、せわしない日本社会にも合っているようです。

台湾ではすでに、6月の台北映画祭で上映されており現地でも評判に。本家のチェン・ユーシュン監督から「成功したリメイク作品」とお墨付きをいただいています。当時の様子や反応、イベントやゲスト交流など、多くのレポートと画像が公式サイトのニュース欄にアップされているので、そちらもお楽しみください。台湾ではこの秋、9月1日から劇場公開されます。

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