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小説家の映画

監督:ホン・サンス
脚本:ホン・サンス
撮影:ホン・サンス
編集:ホン・サンス
録音:ソ・ジフン
音楽:ホン・サンス
出演:イ・ヘヨン、キム・ミニ、ソ・ヨンファ、パク・ミソ、クォン・ヘヒョ、チョ・ユニ、ハ・ソングク、キ・ジュボン、イ・ユンミ

2022年/韓国
日本公開日:2023年6月30日
モノクロ・カラー/1.78:1/モノラル/91分
字幕:根本理恵
配給:ミモザフィルムズ
©2022 Jeonwonsa Film Co.
2022年 ベルリン国際映画祭 銀熊賞(審査員大賞)
2022年 韓国映画評論家協会賞 会員選定ベスト10
2022年 フィルム・コメント誌 年間ベスト映画9位

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公開を記念して、ホン・サンス監督作が一同に観られる特集上映(6/20-7/6)を開催中。貴重な機会をお見逃しなく!

小説家の映画(小説家の映画/The Novelist's Film)

story

 著名な作家キム・ジュニ(イ・ヘヨン)がソウル郊外の街へやって来る。小さな本屋で本を眺めるジュニ。奥から激しい口論の声がする。外で電子タバコを吸っていると、女店主(ソ・ヨンファ)がやって来た。かつて後輩だった彼女は、創作を諦め密かにここへ引っ越していたのだ。突然の訪問に驚きながらも、ここは人が集まる場所だからとジュニを店内に招きいれる。

 店を手伝っている若い女性ヒョヌ(パク・ミソ)がコーヒーを淹れてくれた。ジュニの大ファンだという彼女。だがジュニはスランプで長らく執筆から遠ざかっている。ヒョヌは演技を勉強していたが、今は手話をやっているという。ジュニはヒョヌに興味を持ち、手話を教えてもらう。

 ジュニはこの街の名所ユニオンタワーに連れてきてもらう。望遠鏡で街を眺めていると、ヤンジュ(チョ・ユニ)が声をかけてきた。夫の映画監督パク・ヒョジン(クォン・ヘヒョ)も来ているという。偶然の再会で、コーヒーを飲みながら話す3人。彼はかつて、ジュニの作品の映画化を企画していたが、スポンサーの意向に逆らえず立ち消えになったことがあった。

 監督から借りた高価な望遠鏡で、公園の散歩道を眺めるジュニ。そこまで車で送ってもらったジュニは、散歩中の女優ギルス(キム・ミニ)と出会う。映画界で成功していたギルスもまた、長らく映画から遠ざかっていた。ヒョジンが「もったいない」としつこく問い詰めるので、ジュニは怒ってしまう。

 ヤンジュに促されヒョジンたちが去った後、ギルスは「監督をねじ伏せた」「カリスマ性がある」とジュニを称賛。二人はすっかり打ち解ける。そこへ、ギルスの夫の甥ギョンウ(ハ・ソングク)がやって来る。彼は映像院の学生で、映画を勉強しているという。「カメラは使える?」とジュニ。

 彼女はすべてが居心地いい状態で、本当に好きな俳優の映画を撮りたいと夢を伝える。それは、ギルスと陶芸家の夫を主人公にした短編映画だった…。

アジコのおすすめポイント:

執筆活動から遠ざかっている小説家と、同じく映画出演から遠ざかっている女優が偶然に出会い、意気投合。小説家の夢だった短編映画を完成させるまでを描いたヒューマンドラマです。ホン・サンス監督の長編27作目で、女性二人による女性映画にもなっています。

若い頃は情熱のまま小説を書いていた小説家も歳を取り、考え方や感性が変わり、かつてのような文章が書けない。一方、女優は陶芸家の夫と郊外へ引っ越し、散歩しながら自然と親しむ生活が気に入っており、映画出演もたまに独立系の小さな作品に出る程度に。小説家からのオファーも撮影が1日か2日ということで引き受けます。そんな彼女たちと対極にいるのが、かつてスポンサーの意向で小説家の小説の映画化を取り下げた映画監督や、小説家と飲み友達だった詩人の男性。「映画に出ないのはもったいない」と女優に迫ったり、映画に関する小説家のアイデアにダメ出しをしたり。小説家を苛立たせる存在として登場します。さて、小説家はどんな映画を撮るのでしょうか…。

小説家を演じるのは、前作『あなたの顔の前に』で主演し、新たに女優開眼したベテランのイ・ヘヨン。女優は監督のパートナーでもあるキム・ミニ。劇中劇として登場する短い映像は、元々監督が撮っていた短編だそうで、キム・ミニとの幸せな愛情生活が垣間見えます。そのほかにも、手話や窓辺に佇む少女など印象的なシーンが登場。撮影はカラーでモノクロにデジタル変換され、あえて粗い仕上がりに。一瞬だけカラーになるシーンが美しく映えています。


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