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同じ下着を着るふたりの女

監督:キム・セイン
脚本:キム・セイン
撮影:ムン・ジョンファン
編集:キム・セイン
美術:イ・ジョンヒョン
衣装:イ・ジヘ
音楽:イ・ミンヒ
出演:イム・ジホ、ヤン・マルボク、ヤン・フンジュ、チョン・ボラム、イ・ユギョン、イ・ヤンヒ、クォン・ジョンウン

2021年/韓国
日本公開日:2023年5月13日
カラー/1.85:1/5.1ch/DCP/139分
字幕:根本理恵
配給:Foggy
2021年 ソウル独立映画祭
 俳優部門 独立スター賞(イム・ジホ)
2021年 釜山国際映画祭
 ニューカレンツ賞 作品賞/
 KBニューカレンツ賞 観客賞/
 今年の女優賞(イム・ジホ)/
 NETPAC賞/WATCHA賞
2022年 ソウル国際女性映画祭 発見部門 大賞
2022年 茂朱山奥映画祭 ニュービジョン賞
2023年 ディレクターズ・カット アワーズ
 今年のビジョン賞/今年新人女優賞(イム・ジホ)


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同じ下着を着るふたりの女
(同じ下着を着るふたりの女/The Apartment with Two Women)

story

 洗面台で二人分の下着を洗っているイジョン(イム・ジホ)は、もうすぐ30歳になる。シングルマザーの母スギョン(ヤン・マルボク)と二人暮らしだが、勝気で明るく奔放なスギョンに振り回されて育った。新しい恋人と楽しそうに携帯で話す母。洗ったばかりの下着からお気に入りを選び、絞っただけなのにそのまま履いてでかけていく。

 スギョンは友人のエジョン(イ・ユギョン)とよもぎ蒸しの店を経営している。恋人のジョンヨル(ヤン・フンジュ)とはやっと結婚できそうで、上機嫌だ。生理痛で辛いイジョンが、出がけに鎮痛剤を頼んでいたが、そんなことはすっかり忘れている。気に入らないことがあると、娘にあたり散らす厄介な母親だ。

 イジョンはろくに学校にも行かせてもらえず、学習ドリルを買って自分で勉強していた。スギョンの我がままに黙って従っているが、心の中は爆発寸前だった。そんなある日、車でスーパーへ買い物へ行った時、事件が起こる。大量の荷物を持たされたイジョンが反抗的な態度をとったため、スギョンがキレたのだ。

 「死ね!」が口癖のスギョンは、イジョンを車から締め出したまま運転席にいたが、車が急発進してしまう。イジョンは追突されて、足を骨折する。「母親に轢かれた」そう思ったイジョンは警察に通報。車の保険会社は示談を勧めたが、裁判で訴えることにする。ドライブレコーダーに残っていた罵声や、イジョンが昔書いた手紙などが証拠となった。

 退院後、イジョンはついに家を出る。教材販売の仕事を見つけ、はっきりと意見を言う同僚のソヒ(チョン・ボラム)が身の上話を聞いてくれた。イジョンはしばらくソヒの部屋に転がり込むのだが…。一方、結婚前のスギョンはジョンヨルの娘ソラ(クォン・ジョンウン)と引きあわされるが、あけすけな性格がソラを怒らせてしまう。また、エジョンにも誤解され、仲たがいをしてしまった…。

 イジョンとスギョン、行き場のないふたりの女の未来はどうなっていくのか。

アジコのおすすめポイント:

一緒に暮らしながら、お互いに愛しきることも憎むこともできない母と娘の葛藤と決別を描く人間ドラマです。愛情がないわけではないのに、素直に愛情表現ができない母親。愛情を求め期待しているのに諦めている娘。微妙な依存関係で成り立っている二人が、ある出来事を通じて決裂。感情が爆発した後も相手のことが気になるけれど、幸せになれないこともわかる。なんともつらい状況ですが、自分の幸せは自分で築いていくしかありません。監督は韓国映画アカデミーの卒業制作として作った本作で長編デビューを飾った新鋭のキム・セイン。2022年の東京フィルメックスのコンペティション部門に招待され、助演女優のチョン・ボラム、撮影監督と共にゲスト来日しています。主演は本作がスクリーンデビューの新人、イム・ジホ。強烈な母親役をヤン・マルボクが巧みに演じ、対照的な性格の母娘の複雑な関係を体現しています。近年の韓国フェミニズムやシスターフッド映画の「次」をいく新たなリアリズムとして注目されている本作。あなたの目にはどう映るでしょうか。


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