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高速道路家族

監督:イ・サンムン
脚本:イ・サンムン
撮影:キム・ヒョノク
編集:ウォン・チャンジェ
美術:ソン・ソンイル
音楽:イ・ミンフィ
出演:オ・ドンミン、チェ・ヒジン、イ・ジョンヒョン、キム・ソンファ、キム・ミニョプ、キム・デハン

2022年/韓国
日本公開日:2023年4月21日
カラー/5.1ch/128分
字幕:具美佳
配給:AMGエンタテインメント
©2022 Seollem film, kt alpha Co., Ltd.

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高速道路家族(高速道路家族/Highway Family)

story

 チャン・ギウ(チョン・イル)を先頭に、楽しそうに並んで歩く一家がいる。妊娠中の妻ジスク(キム・スルギ)、8歳の娘ウニ(ソ・イス)、5歳の息子テク(パク・タオン)。彼らはパーキングエリアを転々と放浪するホームレスだ。夜は公園にテントを張って野宿。音楽がかかるとテントで踊ったりもする。朝になると、トイレで顔や体、髪を洗い、洗濯もする。

 上着を着たギウが、車に戻って来る人に声をかける。「妻の実家から帰る途中で財布を失くしたので、2万ウォンだけ貸してくれ」。不審がられると子供たちが顔を出す。返金口座を尋ねると、たいていの人は電子マネーでいいからと名刺を渡す。もらったお金でカップラーメンを買ったり、食堂で一人分の定食を分け合う。そんな生活を続けている。

 ある日、パーキングエリアにいたヨンソン(ラ・ミラン)が、トイレや食堂で遊んでいる子どもたちを見かけた。気にしていると、ギウに声をかけられた。最初は断ったが、子どもたちを見て、ギウに2万ウォン、子どもたちには「何か買いなさい」と5万ウォンを渡した。返金するというので名刺も渡しておいた。

 チョングク中古家具店の女主人ヨンソンは、夫ドファン(ペク・ヒョンジン)やチベット人の従業員ツェテン(シャオ・ツェテン)たちと中古家具を安く回収して売っている。自宅は裕福だが、かわいがっていた一人息子アン・シヌ(チェ・ヒョンジュ)を亡くし、ヨンソンの心には穴が空いていた。心優しい夫はそんな妻を気遣っている。

 別のパーキングエリアで、ヨンソンは同じ話をしているギウを見かけ、警察に通報する。監視カメラの映像で複数の犯行がわかり、一家が廃ビルで休んでいた時に捕まってしまう。ギウは借金で指名手配もされていた。ギウは勾留されるが、行くところのない妻と子どもたちは警察署の玄関に座り込んでいた。雨が降ってきた。

 ヨンソンは家族を放っておけず、店の倉庫に連れ帰る。奥の休憩室を家族に与え、一緒に暮らすことにした。家族は徐々に慣れていき、普通の生活に戻っていく。ウニは学校へも行きたかった。ヨンソンはジスクを産婦人科へ連れて行った。3人が普通の生活に慣れてきた頃、ギウが留置所から逃走。家族の前に現れるのだが…。

アジコのおすすめポイント:

ホームレスとして自由気ままに暮らす4人家族の顛末を描く人間ドラマです。寝床はテントのみ。収入は駐車場で詐欺まがいのことをしており、幼い子どもたちは一見楽しそうだけど、実際は教育や遊び友達が必要な年頃です。妊娠中の妻は病院へも行っていない様子。このまま生活を続けるのはやはり、無理がある。ではなぜ、夫は働かないのか? これは、後半で妻の口から明かされるのですが、彼自身が深く傷ついて病んでいるんですね。学校によい思い出のない妻は、そんな夫を支えてついて行こうとする。でも、やはり無理がある。その救世主となるのが、息子を亡くした中古家具屋の夫婦。さて、どんな結末になるのでしょうか…。

釜山国際映画祭にて本作で長編デビューを飾ったのが新鋭イ・サンムン監督。社会の中で人間が抱く不安とそれに対する心配からホームレスを取材し、脚本を書き上げています。主演は7年ぶりにスクリーンに復帰したチョン・イル。そして、演技派のベテラン女優ラ・ミラン。今までと違う役を演じたかったチョン・イル、今の自分に必要な作品だったと語るラ・ミラン。共に出演を快諾し、見事な演技を披露しています。パンデミックの最中でのロケ撮影は困難も多かったようですが、大自然での撮影は楽だったそうです。特殊な家族のお話ですが、相手の立場に立って考える心の大切さや人間の温もり、愛と許しがしっかりと描かれています。

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▼公式サイト ▼予告編