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ベイビー・ブローカー（ブローカー/Broker）
story
釜山。雨が降りしきる深夜。レインコートの下に赤ん坊を抱いた若い女ソヨン（イ・ジウン）が、教会に設置された赤ちゃんポストの前に立ち、おくるみに包まれた赤ん坊を置いて立ち去った。現場に張り込んでいたアン刑事（ペ・ドゥナ）は、赤ちゃんポストを開けて中のゆりかごに赤ん坊を入れ、ドアを閉める。音楽が鳴った。
「優しいんですね」と一緒に張り込んでいた部下のイ刑事（イ・ジュヨン）。あのままでは風邪をひいて死んでしまうからだ。それに、二人には赤ちゃん売買をしている組織を現行犯で捕まえるという目的もあった。教会の中では、アルバイト職員のドンス（カン・ドンウォン）と臨時神父のサンヒョン（ソン・ガンホ）が赤ちゃんを保護。いつものように映像記録を消去する。
サンヒョンは夜のうちに、赤ちゃんを車で自宅のクリーニング店へ連れ帰った。後をつけたアン刑事は張り込みを続け、イ刑事はソヨンを追っていた。ところが翌朝、ソヨンが教会へ赤ん坊ウソン（パク・チヨン）を取り戻しにやってくる。警察沙汰になると困るサンヒョンは、ドンスにソヨンを連れて来させる。
ソヨンに誘拐と責められ、サンヒョンとドンスはいい里親を見つけるための保護だと主張。だが実体は、手数料を受け取るブローカーだ。ソヨンも分け前をもらうことにして、車で最初の里親候補がいる盈徳（ヨンドク）へ向かう。ところが、ウソンの顔にケチをつけ約束した金額も値切ってきた。ソヨンの激怒で話は破談になる。
次の里親を探すため、一行はドンスが育った養護施設で1泊することに。子供たちは大好きなドンウ兄さんが帰ってきたと大喜び。園長夫妻（ソン・セビョク＆キム・ソニョン）も歓迎する。サンヒョンとソヨンは夫婦ということになり、やんちゃな少年ヘジン（イム・スンス）が自分を養子にして欲しいと頼みこんできた。
翌日、次の里親候補に会うため出発した車の中に、ヘジンも忍び込んでいた。一方、アン刑事は偽の里親を仕込もうと計画する。その頃、釜山ではホテルの一室で殺人事件が発覚。容疑者は若い女だった…。
アジコのおすすめポイント：
赤ちゃんポストをきっかけに子どもと母親、命の価値を考える旅に出る大人たちのロードムービーです。子どもの問題や家族の絆、疑似家族などを社会問題と交えて描き、数々の名作を生み出してきた是枝裕和監督が、韓国のキャスト、スタッフとがっつり組んで完成させた韓国映画。日本と韓国では事情が違うところがあるものの、母親と子ども、命の問題は世界共通。その感動がカンヌ映画祭でも伝わり、ソン・ガンホの主演男優賞、さらにエキュメニカル審査員賞につながっています。
主な出演陣は5人。赤ちゃんポストに預けられた赤ん坊をこっそり盗み出し、里親を探して仲介料をうけとっている二人を、ソン・ガンホとカン・ドンウォンが『義兄弟』(10年）以来の共演で演じます。あれから12年。カン・ドンウォンはあまり変わらないけど、ソン・ガンホはかなり貫禄が出てきました。その二人を追う刑事を演じるのがペ・ドゥナとイ・ジュヨン。かいがいしい婚約者に食料を差し入れてもらってますが、風呂にも入れずカップラーメンで張り込む刑事姿はリアル。「梨泰院クラス」は未見なのですが、『野球少女』の登場はうれしい驚きでした。そして、捨てた赤ん坊を取り戻しに来る母親を演じているのが、IUとして音楽界でも人気のイ・ジヨン。ふてぶてしい母親を繊細かつ堂々と演じ、存在感抜群です。
助演陣も豪華。ドンスが育った施設の園長夫婦をソン・セビョクと『三姉妹』のキム・ソニョン、また里親候補役でイ・ドンフィ、キム・セピョク、パク・ヘジュンらが登場します。様々な思い、それぞれの葛藤を秘めつつ、3番目の里親に会う前のホテルでの夜、暗闇の中での祝福は胸に刺さります。爽やかで幸せなラストを味わってください。
＊イ・ジュヨンは『なまず』が7/29から、イ・ジヨンは『夜明けの詩』が11/25から、それぞれ公開が決まっています。
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