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あまねき旋律

監督:アヌシュカ・ミーナークシ、イーシュワル・シュリクマール
撮影:アヌシュカ・ミーナークシ、イーシュワル・シュリクマール、タルン・サルダンハ
編集:アヌシュカ・ミーナークシ、イーシュワル・シュリクマール
音楽:ペク村の村人たち
音響:アルウィン・レゴ、サンジャイ・マウリャ
整音:ヴィシュヌ・ダス、デバジット・チャンマイ
色調整:ディルシャド・ナンジ
出演:ペク村の村人たち

2017年/インド
日本公開日/2018年10月6日
カラー/16;9/83分/チョークリ語
字幕:
配給:ノンデライコ(大澤)
2017年 山形国際ドキュメンタリー映画祭
 アジア千波万波部門 奨励賞
2017年 ムンバイ国際映画祭
 コンペティション部門 グランプリ

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あまねき旋律(kho ki pa lu)

story

 インド東北部、ミャンマー国境付近に位置するナガランド州。ペク村には5000人の住民がいて、そのほとんどが稲作を行い、米を自給自足している。そこには棚田が広がり、いつも歌が響いている。雑草刈りに向かう女性たちの歌声。ナガ族の合唱は多くの声による会話である。その重なり合う歌声は「コ・キ・パ・ル」と呼ばれ、高音と低音が響き合い、遠くまで広がっていく。

 上半身裸の男たちが泥だらけになり、歌いながら水田を激しく耕している。4人の老婆たちが座って、若い頃に歌った思い出話をしている。中年の男たちの中には「合唱に加わったことはない」という者もいる。照れ屋の彼もある日、歌を口ずさむ。「珍しい人が歌っている」と女性たちに笑われたが、愛の歌を歌うとからかわれなくなった。

 好天の棚田で、若い男たちが草刈りをしながら歌っている。「田畑に出る時は山の頂上に着いたら、『聞こえるか』と叫ぶ。自分の居場所を叫ぶんだ」中年の男女が、それぞれ昔話でムレ(少人数の組)の話をする。夕方になり、夜になっても歌声は響く。

 「かつては伝統的な合唱の文化があったが、キリスト教の伝来と共に廃れた。やがて、地元民のキリスト教指導者たちは、自分たちの合唱文化を復活させたいと感じ始めた」  

アジコのおすすめポイント:

インドの東北部、国境付近にあるナガランド。その中のペク村に焦点をあて、美しい棚田で作業をしながら歌われる合唱文化を丁寧に記録したドキュメンタリーです。その歌声は、日本でいうと木遣り歌のような掛け声による民謡に似ています。キリスト教の伝来で一度は廃れましたが、幸い復活して今も続いています。本作はアヌシュカ・ミーナークシとイーシュワル・シュリクマールによる共同監督作品。インド各地のパフォーマンス文化を記録するというプロジェクトの途中で発見され、美しいドキュメンタリー映画になりました。田植えや稲刈り、足踏みによる脱穀作業と、歌いながら皆で一斉に行う作業は祭りのようでもあり、楽しそう。ナガランドといえば、かつて独立運動による紛争地帯だったため、悲惨な歴史もあり、今もインド軍兵士の監視下にあります。時代の流れはこの地にも訪れ、若者はスマホに夢中。それでも強いコミュニティー意識を持つ人々は、この生活に根付いた歌の文化を継承していくことでしょう。


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