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みんなで日中合作映画を作ろう!(拡大

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バラバラになった心を望の形見のペンダントが1つに結ぶ。
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そしてみんなは1つになる。

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最終公演で挨拶をする井上さん。

■『私たちの旅路』ストーリー

 日本人の少女・愛は、3年前に日本で亡くした中国人の親友・望の夢だった「日中合作映画」を完成させるために上海へやって来る。望は志半ばで、その命を阪神淡路大震災に奪われてしまったのだ。愛は上海で女優を目指す中国人学生・寄平に出会う。互いに言葉は通じ合わないものの、意気投合し、仲間を集めての映画を創りが始まった。

 だが、お互いの文化や習慣を理解しないまま想いだけで押し進めていく内に、さまざまな摩擦が生じ、衝突し合ってしまう。とうとう愛の気持ちは空回りしてしまい、ひとりぼっちになってしまう。そんな時、亡くなった望が愛の目の前に現れて彼女を励ます。

 愛は自責の念を抱えていた。それは自分が望を死なせてしまったのではないか、という思いだった。愛の家に寄宿していた望は勉強熱心で人一倍がんばっていた。夜遅くまで部屋のあかりは灯ったままだった。そんな望へ嫉妬のようないらだちをおぼえていた愛は心ない言葉を言ってしまう。その後、望は引っ越してしまい、ほどなくして震災の犠牲者となってしまったからだ。

 けれど目の前に現れた望の言葉は違っていた。自分の夢をかなえようとしてくれていることに感謝し、「あなたは一人じゃない」と教えてくれる。人と人の心を繋ぐのに、国境や壁はない。心を開いて向き合っていけば、必ずその想いは伝わり、繋がっていく。そのことに愛は気づかされる。

 再び仲間と映画を完成させるためにがんばる愛。そして映画は完成し、素晴らしい奇跡が起きる…。

*取材協力:
上海戯劇学院留学生 井上明子さん
『私たちの旅路』公式サイト管理人
高橋彩さん

●『私たちの旅路』公式サイト
http://www.geocities.jp/cnjp2006/
*彼女たちの今までの取り組みの中での生の声が読めます。
奇跡は起るものではなく起すもの
ミュージカル『私たちの旅路』奮闘記


2006年4月12日

 3月7日から10日まで、上海戯劇学院という大学の小劇場で、学生たちの手による日中友好オリジナル・ミュージカル『我們的旅程/私たちの旅路』が上演されました。大学の劇場で学生が舞台に立つと聞けば、ちっとも珍しくないじゃんと思われることでしょう。けれどこの舞台、他の作品とはちょっと違うのです。

 それは、たった一人の日本人留学生の想いから始まりました。彼女の名前は井上明子さん。幼い頃からクラシックバレエを学び、劇団での活動経験もあり。高校は全国的にも有名な兵庫県立宝塚北高校演劇科。ずっと演劇芸術の世界で育ってきました。後に大学で国際コミュニケーションを学んでいた彼女は、中国語を学ぶために留学を考えます。さらに、自身が歩んできた舞台演劇の道を通して中国文化に触れることができれば、と上海戯劇学院で学ぶことを決意します。

 日本の大学を休学して留学し、2004年2月から半年間は中国語を勉強。その後、9月から舞台監督など演劇に関する勉強を始めた井上さんには、だんだんと中国人の友人が増えていきました。一方で、TV『奇跡体験!アンビリバボー』(2005年2月17日/フジテレビ)でも放送されたことがある、神戸で上演された震災復興のためのミュージカル『栄光の果てに…』の報道記事を読み、彼女は大きな刺激と感動を受けます。傷ついた心をミュージカルで癒す、それは同じ演劇にたずさわる彼女の目の前に開かれた大きな道であり、憧れにもなりました。

 以前から大学の友人たちと作品を創りたいという話はしていたものの、特別な目的で企画を考えていたわけではありませんでした。しかし、井上さんが上海で学び始めてから後、日中関係はどんどん緊張していきます。彼女はそんな冷えきった人々の心をミュージカルで癒し、氷を溶かしていくことはできないかと考えたのでした。

 井上さんの胸の中で熱くたぎってきたこの想いを、たくさんの友人たちが支えていきました。上海戯劇学院の仲間たち、宝塚北高校演劇科時代の仲間たち。1つの舞台を上演することが容易でないことは、彼女も知っていました。それでもなんとかできる、と思っていました。

 ですが現実の壁は厚く、スポンサーを探そうにも学生の話にはなかなか耳を傾けてもらえません。運良く話を聞いてもらえても、甘さや曖昧さを指摘されるだけで、アドバイスをくれるような人は皆無に等しい状態でした。井上さんは自分の甘さをいやというほど思い知らされ、身も心もへとへとになります。

 でも、彼女は一人ではありませんでした。井上さんが信頼し声をかけた仲間たちは、皆、彼女を信頼していました。もはやこの舞台は彼女一人の夢ではなく、みんなの夢となっていました。しかし、相変わらずいろんな壁が立ちはだかり、なかなか思うように進みません。自分たちに大きな力があるわけでもなく、マスメディアの力も動かせない彼女たちにとって、この勝負は無謀ともいえる状態にありました。

 そんなある日、井上さんは日本から送られてきた谷村新司氏のドキュメンタリー番組を見ます。ご存知の方もいると思いますが、谷村さんは現在、上海音楽学院で教鞭をとることで、日中友好の道を紡いでいこうとしています。彼女は深い感銘を受けました。そして友人のつてをたどって、とうとう彼にたどり着いたのです。

 井上さんたちの行為がただの思いつきや勢いだけでやっているのではない、ということをすぐにわかってもらえたのでしょう。谷村さんと上海音楽学院谷村新司音楽工作室から無償サポートを受けることになり、これでやっと、若い人たちの頑張りを支える大きな力を得ることができました。さらには、日本のマスメディアにも取り上げられるようになりました。

 しかし今度は、題材の問題が浮上していました。最初に用意していた話は、戦争のせいで離れ離れになってしまったカップルが孫を通して天国で再会する、という内容だったのですが、わずかであっても日中関係にとって敏感な部分にふれる題材というのは障壁が多すぎ、このままではたとえ資金を集めることができたとしても上演は不可能だ、というところまで追いこまれてしまいました。

 井上さんたちを応援してくれる人々は、谷村新司氏だけではなく大学の先生の中にも存在しましたが、反日デモが行われるなど緊張が続く中で、戦争を題材にしたままでは上演ができない、という声はもう消すことができませんでした。


 台本の内容を変更せざるを得なくなってしまった頃には、この舞台のために関わって来たそれぞれのメンバーの中に温度差が生じてしまい、さらにはそこから誤解も生まれて、とうとう井上さんは諦めようとまで考えます。2005年11月の頃でした。しかし、そんな彼女を踏ん張らせてくれたのが、中国の友人がくれた「永遠是朋友(ずっと友達)」というメッセージでした。

 新しい題材を考えることになりました。友好を柱とする中で、命の尊さを訴えないと話が軽くなってしまうのではないか。井上さんには、高校時代に地震をテーマにした舞台の経験がありました。そこで、戦争に替わる新たな題材は、阪神淡路大震災に決まりました。ここでも、上海の学生のほとんどが小さな地震すら経験がないため議論が繰り返されましたが、井上さんは「永遠是朋友」という言葉に支えられ、最後まで粘ることができたのでした。

 4日間上演されたこの公演が、最終日には立ち見まで出るほどの盛況ぶりだったことが、これまでの道のりの成果と言えるでしょう。

 イマドキの若者たちは…とすぐに嘆きたがる大人たちが見失ってしまったもの、見て見ぬふりをして通り過ぎようとしているものの存在を、改めて教えてくれたのは他でもない「イマドキの若者たち」。このような若者たちの動きが日中関係だけでなく、世界各地へとどんどん広がっていけるように、私たち大人も協力しなくてはいけないなあと考えさせられる作品でした。再演されることを心から願っています。そして、もっとたくさんの人たちの心が繋がっていきますように。

●from 上海在住の二姐:profile
上海人の夫を持つ大阪人。街を探険するのが大好きで、地図とデジカメをかばんに忍ばせてあちこち歩いてまわっています。めまぐるしく変化し続けて街のにおいを失いつつある上海の、あちこちに残る「上海くささ」をお伝えできれば嬉しいなあと思います。


music & cinema

コンサート情報

「同一首歌」大型演唱会(5/27)
場所:上海大舞台 19:30開演
CCTV(中央電視台)音楽チャンネルの人気番組、「同一首歌」のステージが上海にやってきます。どんな歌手が出演するのかはおたのしみ。

*チケットホットライン:中国800-820-2317、(021)6359-5280
*時尚票務ネット:http://www.2317.cn/index/proshow.asp?ID=1800
*CCTV音楽頻道「同一首歌」公式サイト:http://www.cctv.com/program/tysg/01/index.shtml

Hot Information

●「中国映画の全貌2007」開催。(7/21-9/7)
毎年、三百人劇場で開催されていた企画上映「中国映画の全貌」が、今年から新宿K's Cinemaに引き継がれ開催されることに。『太陽の少年』から『ブエノスアイレス』まで、中国・香港映画約70本を連続上映予定。新作としては『クレイジー・ストーン/翡翠狂想曲』と『トウ小平』が記念公開される。(*9/1-7はアンコール上映も予定)詳細は後日発表。
更新日:2009.10.16
●back numbers

■中国の基本情報■
首都:北京
人口:約13億人
言語:北京語
時差:-1時間
通貨:人民元
現地レート*
 1万円=769人民元
*レートは刻々変動するので、大体の目安としてご覧ください。

ヴィッキーチャオ・インタビュー

●中国の情報サイト
中華人民共和国駐日本国大使館
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(980円/日中通信社)

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